かくして、パーティーが始まった。
ツバキは挙動不審にながらも怪しまれないよう、料理を頂いたり、少しだけお話をしたりと過ごしている。
ヒョコリ、背後から声をかけてくる。
というか逆に此奴は何故ここまで満喫している?
普通に美味しく料理頂いてんなよ手前。
私が顔を背けて言うと、神尾は「あそーう」と
適当な返事をして、他のところへ目を向けた。
…此奴が背後に立つ時、私はいつも反応が遅い。
いきなり声をかけられて驚くことは無いが…何時もの私の反応速度ならば、背後に立とうとした時には振り返ることが出来る筈なのだ。
一つ溜息をつき、ツバキの方へ目を向ける。
壁の方で一人寂しくドリンクをちびちび飲んでいた。
一人で居させて殺されては困るので、
私は仕方なくツバキのいる方へ行った。
ツバキは私を一度見ると、
直ぐに目を逸らして床を見る。
殺し屋に狙われているのもあるだろうが、
元々他人と話すことが苦手なのだろう。
先程から誰と話していても視線が微妙に合っていない。
下を見つめていた瞳が開かれる。
ツバキは小さな声で話し出す。
……おいおいマジか…。
……待て。それは、つまり、…
…即答か。相当怒り心頭だな、これは。
私がなんとなく思ってそう言うと、
彼女は自嘲気味に「そうですね」と呟く。
彼女は顔を上げて、目を細めながらそう言い切った。
私は彼女の整った色白の横顔を見る。
これはこれは、おもしろい女に出会ったようだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!