彼女は自分の名前を「ツバキ」と名乗った。
「んねー、あなたの偽名ちゃん?」と
神尾がこちらを向いて聞いてくる。
まあセンパイの言うことには逆らえないよね。
というか別にあまり興味は無い。
パーティー会場は広く、端から端に行くだけで
軽く3分はかかるであろう距離があった。
会場が広いということは招待客も多いということ。
これは殺し屋を先にみつけてこっそり始末するのは難しそうだな。(そもそも始末しちゃ駄目)
ツバキさんを見ると、
落ち着かない様子で辺りをを見回していた。
彼女は視線を下に向け、肩を震わせる。
ま、そりゃそうだ。
こんな20歳にもいかないような少女が殺し屋に命を狙われて、平然としていられる方がおかしいというもの。
血と暴力に塗れた裏社会に通じていたのなら話は別だが……私じゃあるまいし。
…というか、本来このパーティーに来るはずだった
その「スイ」とかいう令嬢は何故命を狙われてるんだ?
たった16歳の少女が殺し屋に狙われるなんて、
一体何をしたらそんなことが起こる。
私は嫌な声が聞こえて振り向く。
そこには矢張り、笑みを貼り付けた神尾葵がいた。
此奴には、会場の受付係の者に
「身体検査を厳重にして欲しい」と
公安組織の名前を借りて言ってきて貰った。
殺し屋から身を護るのが私たちの仕事だが、
どうせなら抑殺し屋を入れないようにしておきたい。
気持ち悪。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。