第15話

013
1,114
2026/01/12 00:44 更新
自分の腹に触れる冷たい感覚で、我に返る。触れているのは間違いなく俺の手で、ハンビンさんの目は先程の冷たい目とは異なって柔らかく、優しい目をしていた。
何かが、おかしい。
俺の呼吸は無意識に一定のリズムに揃えられていて、それはハンビンさんが話す間の、あの妙な間と同じだった
俺の心理に侵食されて主導権が静かに奪われる感覚がして、ハンビンさんを睨みつける
hanbin
hanbin
ねえ。
呼ばれただけで、返事をしてしまいそうになる。
hanbin
hanbin
今、自分が考えていることと、口から出る言葉。どっちが先だと思う?
質問の意味を考えようとして、途中で諦めた。考えるより先に、舌が動く。
jiu
jiu
……口
hanbin
hanbin
だよね
彼は嬉しそうでもなく、ただ確認するように頷いた
hanbin
hanbin
それ、怖い?
jiu
jiu
……少し
hanbin
hanbin
じゃあ、どうして辞めたいっていわないの?
胸の奥がひやりと冷えた。確かに、辞められるはずだった。
jiu
jiu
言わなくてもハンビンさんは分かってる気がしたから
言った瞬間、後悔が遅れてやってくる。そんな期待を口にするのは、弱さを差し出すのと一緒だ。
ハンビンさんは俺の顎を掴んで、俺の視界にゆっくりと入ってきた。静かに、確実に。逃げ場がない。
hanbin
hanbin
それが一番危ない考え方だって知ってる?
jiu
jiu
…うん
hanbin
hanbin
でも、今は
ハンビンさんの声が低くなる。
hanbin
hanbin
その危ない考え方でいて。
俺は喉を鳴らした。飲み物のせいなのか、部屋の空気のせいなのか、判断がつかない。

ただ一つ確かなのは、黙っている方がずっと苦しいということ
hanbin
hanbin
今のジウは素直でいい子だから、一つ教えてあげる
hanbin
hanbin
さっき飲ませたお茶に少し細工したんだ。
hanbin
hanbin
眠くならない、けど感覚が鈍る。思ったことが全て口に出るでしょ。
hanbin
hanbin
黙ったら、黙ってる理由が口に出る。君のことを沢山知りたくて、薬盛ったんだ。
jiu
jiu
嵌めたな
hanbin
hanbin
人聞き悪いよ
hanbin
hanbin
君も期待してる癖に
jiu
jiu
……なわけ
hanbin
hanbin
じゃあ、もう1つ聞くね
hanbin
hanbin
君が本当に隠しているものは秘密そのもの?それとも、

間だ。この妙な間。
俺はこの沈黙に耐えられなくなって自分から言葉を落とす
jiu
jiu
……知られて、壊されるのが怖い
hanbin
hanbin
大丈夫
jiu
jiu
何が?
hanbin
hanbin
優しくこわしてあげるよ
hanbin
hanbin
同じとこまで、堕ちておいで
頭の次は、体も動かすのがだるく感じた
hanbin
hanbin
なんも見ないで、余計なこと考えないで、ただ縋って。
hanbin
hanbin
それまでは優しくしてやれないよ

そういうとハンビンさんは、自分のネクタイを解いて俺に目隠しをした。

その笑顔が、怖かった。

プリ小説オーディオドラマ