自分の腹に触れる冷たい感覚で、我に返る。触れているのは間違いなく俺の手で、ハンビンさんの目は先程の冷たい目とは異なって柔らかく、優しい目をしていた。
何かが、おかしい。
俺の呼吸は無意識に一定のリズムに揃えられていて、それはハンビンさんが話す間の、あの妙な間と同じだった
俺の心理に侵食されて主導権が静かに奪われる感覚がして、ハンビンさんを睨みつける
呼ばれただけで、返事をしてしまいそうになる。
質問の意味を考えようとして、途中で諦めた。考えるより先に、舌が動く。
彼は嬉しそうでもなく、ただ確認するように頷いた
胸の奥がひやりと冷えた。確かに、辞められるはずだった。
言った瞬間、後悔が遅れてやってくる。そんな期待を口にするのは、弱さを差し出すのと一緒だ。
ハンビンさんは俺の顎を掴んで、俺の視界にゆっくりと入ってきた。静かに、確実に。逃げ場がない。
ハンビンさんの声が低くなる。
俺は喉を鳴らした。飲み物のせいなのか、部屋の空気のせいなのか、判断がつかない。
ただ一つ確かなのは、黙っている方がずっと苦しいということ
間だ。この妙な間。
俺はこの沈黙に耐えられなくなって自分から言葉を落とす
頭の次は、体も動かすのがだるく感じた
そういうとハンビンさんは、自分のネクタイを解いて俺に目隠しをした。
その笑顔が、怖かった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。