前の話
一覧へ
次の話

第13話

自傷行為 後半
425
2024/12/31 14:04 更新
【竹ロバ】

最近あなたの様子がおかしい。やたらと俺らに隠れて何かをするようになったし、肌の露出を極端に避けるようになった。流石に不審に思って、何かあるんじゃないかと思って聞いたけど、返事はいつも決まって「なんにもないよ」の一言。…いや、一点張りと言ったニュアンスが近いのかもしれない。
ある日、ようやくあなたの違和感の正体を突き止めることができた。洗濯を手伝っていた時、あなたの服の袖の部分が決まった形で茶色く跡がついているのを発見した。それが何か分からないほど、こちらも無知ではない。

「…あなた。これ」
そこまで言って見せると、あなたはひどく焦ったように服を取り上げてしどろもどろになった。信じたくないが自傷行為をしたんだろう。黙ってあなたの細い腕を掴み、袖をたくし上げると、予想通り痛々しい傷跡が走っていた。
「おかしいとは思ってたんだ。もっと早く気付けばよかった…。今日は調達はあいつらに任せる。だからゆっくりで良いから、話してほしい。」
あなたは泣きながら頷いてくれた。



【ナナ】

 ここ最近ナナのところに行けていない。いつもは癒しが欲しくて会いに行くけど、最近はどうもその気になれずザクザクと自分の体を切り付ける日々だ。ルーサーさんから「ナナが寂しがっている」と聞いたから会いに行きたいのはやまやまなんだけれど。こんな弱い私を知られたくないのと、今は上手く笑えそうにないのとでなかなか行けない。
「あなた?いるかしら」
深夜。ドアから聞こえたのは癒しの彼女の声。地下から出てきたことに驚いてドアを開けると、可愛らしくブランケットを持参して、ひょこっとドアから顔を出す。
「もう、どれだけ待っても来ないから私から会いに来たわ」
イタズラっ子っぽく笑って入ってくれた。そして即座に言われたこと。
「今ここで正直に話して、私に聞かせてくれたら、ルー様には内緒にしておいてあげるわ」。

「え、?」と口からこぼれた。何か全てを見透かすかのような瞳で、真っ直ぐに見つめられた。あぁ彼女は知っているんだ。そう思うと心が楽で軽くなり、気付けば涙がとめどなく溢れかえった。
「さぁこっちにいらっしゃい」
そう言って誘導してくれる彼女に、全て話してみようと思う。






【サトル】

「あなたって僕と似てるよね」
サトルの夢に入ってしばらく経った時、ふとそう言われた。「なんのこと?」と聞き返すと
「隠さなくても良いよ。今日はダルもアイツもいないし。ここにいるのは僕とあなただけ。僕に話してみない?」
クルクルと器用にカッターを回して、好青年をとてもわかりやすく表現したような笑顔を私に向けた。
「切ってること知ってるの?」ともう一度質問する。
「あなたのことで知らないことなんてないよ」
と優しく言った。

だから全て一通り話してしまった。彼は何も言わずに、ただ頷いて聞いてくれた。そして私が気になったことを聞く。「似てるってどういうこと?」と。
すると彼は学ランを脱いだ。別に変なことをするわけじゃないのに、ちょっとドキッとした自分が恥ずかしい。そしてシャツを捲って見せたものは。

私に負けず劣らずの切り傷の量。(しれっとランダルの名前も入っている。)ついじいっと見てしまう。すると、私の手にサトルの手が重なった。
「ここは夢の世界。ここにいる時だけでも、僕があなたの嫌なことから遠ざけることはできるから」
そう言って、するすると手を絡め取って、強く、優しく握ってくれた。

プリ小説オーディオドラマ