第8話

遅くない
99
2026/03/28 16:13 更新
大我がくる30分前

北斗さんはそわそわしてずっと歩き回ってる
あなた
そんなに緊張しなくても…笑
北斗
だって俺人と話すのとか苦手だし…
あなた
頑張ってくださいね
北斗さんはやや下を向きながら

でも確かに頷いた
あなた
あ、
ドアをノックする音がして、彼がきたことを悟る

北斗さんは、少し背を伸ばしてゆっくりと深呼吸した

そして、何を思ったのかベッドに戻ってしまった
あなた
え?
大我
おじゃましまーす、
あなた
あ、大我。きてくれてありがと
大我
うん。どうかしたの?
大我が大きな瞳でそう問いかけてきた

北斗さんはベッドを仕切るカーテンの向こうにいる
あなた
えっと、話したいこと、あるらしくて…
不思議そうに目を丸くする大我をよそに

私はカーテンの方へゆっくりと歩き

そっとカーテンを開けた
大我
え、北斗…?
絵に描いたような驚き方をする大我。

肝心の北斗さんは俯いたまま大我の方を見ようとしない
北斗
大我、久しぶり
やっと上げた北斗さんの顔は少し強張っていた

ふたりは目を合わせたかと思うとまた逸らして

なんだかもどかしい気持ちになりながら

私はただ眺めることしかできなかった
北斗
…ごめん。
先に誤ったのは、北斗さんだった
北斗
俺、自分が辛いこと言い訳にして
大我の気持ち考えてなかった。
北斗さんのまつ毛が少し震えている

大我はそんなことない、とかぶりを振った
大我
謝らないでよ。悪いのは俺なのに
大我もまた、北斗さんをまっすぐ見つめた

その目は、ちょっとだけ潤んでいる
大我
俺が、北斗に最低な事言って
勝手に怒鳴って出ていったから、
俺…最低だ、っ
北斗
違う、違うよ
大我の目からぼろぼろと大粒の涙が溢れる

北斗さんはそれを指でぬぐいながら否定し続けた
大我
ねえ、俺、また北斗と仲良くしたい
北斗
うん
北斗さんの目からも、涙が一粒溢れた

私はそれを見ることしかできなくて
大我
北斗、まだ入院してるの?
北斗
…まだちょっと良くならなくて
大我
いつ退院できそう?
北斗さんは私の方を向き、瞳を揺らした

言うか迷ってるんだろうな、

私は小さく頷いた
北斗
大我に言わないといけないことあって。
大我
なに?
大我の表情が少し硬くなった
北斗
俺、もう長く生きられないみたい
大我が驚いた顔をした

北斗さんは話し続ける
北斗
余命1年って言われて。
大我
嘘、なんだよね?
大我は縋るような声で問いかける
北斗
嘘じゃないみたい。
でも最後に大我と仲直りできてよかった
大我は、また目から涙を流した

下を向いて、泣き顔を見られないように
大我
ごめん…っ、ほんとに、ごめん…
北斗さんは大我の涙を拭いながら、自分も泣いていた
北斗
あと1年、一緒にいてくれませんか、?
大我は、涙を拭って笑顔を作り、答えた
大我
あたりまえじゃん、っ!!
仲直りできた2人を見届け、

私はそっと病室を出て行った

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