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第11話

やりたい事
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2026/04/03 16:23 更新
あなた
できた…!
シャーペンを机の上に置き、

書き物で疲れた手が解放された

目の前には、100個のチェックリストが書いてある

北斗さんがやりたい事を見つけてみる、

と言っていたのに便乗して、私も書いてみたくなった
あなた
んー、難しいかな
チェックリストの1番上は、海に行く

それから、学校に行く、アイスを沢山食べるとか

とにかくいろんな事を書いてみた
北斗
なに?それ、
検査から帰ってきた北斗さんが、声をかけてきた

入院着が、少し乱れていた
あなた
おかえりです
北斗
ただいま。
あなた
これ、やりたい事リストです
北斗さんに見せると、

一項目ずつ丁寧に目を通してくれた
北斗
いいね、俺も書こうかな
あなた
書いてください!私、見たいです
思わず身を乗り出すと、北斗さんは笑って答えた
北斗
一緒に書いていい?
あなた
もちろんです
北斗さんは私のベッドの脇の椅子に座って、書き始めた

真剣な表情と、少し伏せられた目、時折触れるまつ毛

どれも言葉じゃ言い表せないほど美しかった
北斗
かけた、
あなた
見せてください!
ペンを開いた北斗さんの紙をとり、

一つ一つ見て行った

1番上には、『少しでも長く楽しく生きる』と書いてある

これ、私の言ったセリフじゃない?
北斗
それ、好きだから書いちゃった
あなた
それ?
北斗
長く楽しく、ってやつ。
俺、あの言葉すごいいいと思う
北斗さんは、最近よく笑う

出会ったときはあんなに冷たかったのに。

だんだん、北斗さんが私に近づいてきてくれてるのかも

…なんておこがましいことまで考えてしまうくらいには
あなた
ありがとうございます、
他にも、ドラマ一気見、映画館に行く、とか

たくさんやりたいことが書かれていた
北斗
俺、残り時間でこれ全部埋めたい
北斗さんは、真剣な眼差しでリストを見つめた
北斗
だから…あなたの下の名前にも手伝ってほしい
私の方を向きなおした北斗さんに

私は笑顔で声をかけた
あなた
もちろんです。任せてくださいっ!
北斗
ありがとう。
病室内を、朝の明るい日差しが差した

心なしか距離が縮まったようで、高揚してしまう
北斗
北斗でいいよ。
あなた
え?
北斗
名前。北斗でいいよ。敬語もいらないし
少しそっぽを向いて言う北斗に、

達観しているように見えた北斗も意外と年相応だと

ちょっと新発見をした
あなた
うん。よろしく、北斗

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