第3話

君を知る
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2024/08/16 06:31 更新
山中綾華
山中綾華
私たちが偽装恋人だってバレないために
山中綾華
山中綾華
まずはお互いを知り合おう
    そう言って彼女はメモを取り出した
山中綾華
山中綾華
誕生日は?
大森元貴
大森元貴
9月14日
山中綾華
山中綾華
血液型は?
大森元貴
大森元貴
A型
山中綾華
山中綾華
尊敬する人は?
大森元貴
大森元貴
うーん…
大森元貴
大森元貴
西川文乃
山中綾華
山中綾華
失礼だけど、どちら様?
大森元貴
大森元貴
マニアックな純文学作家
山中綾華
山中綾華
なるほど…
大森元貴
大森元貴
そんなのもメモるの!?
山中綾華
山中綾華
もちろん♩
山中綾華
山中綾華
特技は?
大森元貴
大森元貴
強いていうなら料理かな
山中綾華
山中綾華
え!すごい!
大森元貴
大森元貴
家事は基本僕がやってて
山中綾華
山中綾華
そうなんだ
大森元貴
大森元貴
うち、父さんと2人暮らしだからさ
山中綾華
山中綾華
いつか食べてみたい
山中綾華
山中綾華
元貴くんの手料理
大森元貴
大森元貴
……!
大森元貴
大森元貴
……
山中綾華
山中綾華
……
        偽装恋人の条件その1
    放課後まではお互い話しかけないこと
山中綾華
山中綾華
📱✉️明日 日直 遅くなる
                       偽装恋人の条件その2
    連絡のやり取りはできるだけ簡潔に
大森元貴
大森元貴
📱✉️り
          そして…


       偽装恋人の条件その3
山中綾華
山中綾華
ねぇ、今度どっか遊びに行かない?
大森元貴
大森元貴
それは…
大森元貴
大森元貴
つまりデートってやつ?
山中綾華
山中綾華
そう!
山中綾華
山中綾華
一応、恋人だから
大森元貴
大森元貴
確かに…
大森元貴
大森元貴
じゃあ、日曜とか?
山中綾華
山中綾華
ぜひ!お願いします
山中綾華
山中綾華
あ!でも午後からでもいい?
大森元貴
大森元貴
いいけど、午前中はなにかあるの?
山中綾華
山中綾華
わかってないな〜
山中綾華
山中綾華
女の子の朝は準備があるんです!
       


         偽装恋人





   僕たちは恋人であり、恋人ではなかった
山中綾華
山中綾華
でもその前に!
山中綾華
山中綾華
こちら!私の親友の藤澤涼架ちゃんです
藤澤涼架
藤澤涼架
……
大森元貴
大森元貴
知ってます…
山中綾華
山中綾華
私たちのことがどうにも気になるらしくて…
山中綾華
山中綾華
三者面談がしたいと
大森元貴
大森元貴
面談っていうか、取り調べ…
藤澤涼架
藤澤涼架
何?
大森元貴
大森元貴
いや…
大森元貴
大森元貴
別に構わないけど
藤澤涼架
藤澤涼架
署までご同行願います
藤澤涼架
藤澤涼架
大森、猫平気?
山中綾華
山中綾華
ほら!
大森元貴
大森元貴
………
大森元貴
大森元貴
ここ!?
藤澤涼架
藤澤涼架
そう
大森元貴
大森元貴
でっか…
大森元貴
大森元貴
藤澤の父さんって何してる人なの…?
藤澤涼架
藤澤涼架
うち親が離婚調停中でさ
藤澤涼架
藤澤涼架
今はお母さんと2人で
大森元貴
大森元貴
そうなんだ…
山中綾華
山中綾華
涼ちゃんのママは有名なデザイナーなんだよ
大森元貴
大森元貴
だからこんなオシャレなのか…
   


   僕は藤澤の本棚にあった本を見つけた
大森元貴
大森元貴
西川文乃…
藤澤涼架
藤澤涼架
あぁ!西川文乃はねぇ
藤澤涼架
藤澤涼架
純文学界の若手ホープで
藤澤涼架
藤澤涼架
将来を期待されてる作家さん
藤澤涼架
藤澤涼架
私の推しなの
藤澤涼架
藤澤涼架
かなりマニアックだから知らないと思うけど…
山中綾華
山中綾華
西川文乃!?
山中綾華
山中綾華
それって、元貴くんの尊敬してる人だよね?
藤澤涼架
藤澤涼架
えっ?何 大森も推しなの!?
大森元貴
大森元貴
え?あぁいや、推しっていうか…
藤澤涼架
藤澤涼架
なぁ〜んだ
藤澤涼架
藤澤涼架
ただの同類か
藤澤涼架
藤澤涼架
よろしく、文学少年
大森元貴
大森元貴
……ちがうよ
藤澤涼架
藤澤涼架
あ!見て!
山中綾華
山中綾華
わぁ…!!
     




        夕日が出ていた
山中綾華
山中綾華
綺麗…!
藤澤涼架
藤澤涼架
ほんとだね

     彼女はたくさん写真を撮っている
大森元貴
大森元貴
ちょっと撮りすぎじゃない?
大森元貴
大森元貴
写真に残すよりもしっかりと目に焼き付けたほうがいいと思うけど
山中綾華
山中綾華
うん
山中綾華
山中綾華
残しておかないと…
山中綾華
山中綾華
忘れちゃうから、全部
藤澤涼架
藤澤涼架
………

     私には、昨日の私が存在しない


      





      アラームの音で目が覚める
山中綾華
山中綾華
……
        毎日日記を読む
山中綾華
山中綾華
もう6月なの?
山中綾華
山中綾華
じゃあ学校はどうしてたの?
山中敬子
山中敬子
退院した後は、普段通りに通ってる
山中敬子
山中敬子
でもね
山中敬子
山中敬子
綾華の記憶障害のことを知ってるのは、先生方と涼ちゃんだけなの
山中綾華
山中綾華
え?
山中敬子
山中敬子
他の人に知られないように気をつけて
山中綾華
山中綾華
どうして?
山中敬子
山中敬子
何をされてもあなたの記憶には残らない
山中敬子
山中敬子
そのことを利用して、近づいてくる人がいるかもしれないでしょ?
山中敬子
山中敬子
だから
山中敬子
山中敬子
信頼してる人だけの秘密にしてほしいの
山中綾華
山中綾華
………
      
 
  
 
         次の日も…
山中浩司
山中浩司
おはよう
山中綾華
山中綾華
おはよう
山中綾華
山中綾華
あの…
山中綾華
山中綾華
えっと…
山中綾華
山中綾華
迷惑、かけてるよね
山中浩司
山中浩司
迷惑なんて… ねぇ?ママ
山中敬子
山中敬子
あなたは立派なことをしたのよ?
山中敬子
山中敬子
事故に遭いそうになった子供を助けたんだから
山中浩司
山中浩司
そうだぞ
山中浩司
山中浩司
そんな綾華を誇りに思ってんだ
山中綾華
山中綾華
ひょっとして…
山中綾華
山中綾華
この会話も毎日してる?
山中浩司
山中浩司
……
山中敬子
山中敬子
……



         絶望的な気分





          それでも






          向き合う








         少しの希望…








  希望に似た何かが、そこには書かれていたから

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