よりにもよって炎系か、
私とお兄ちゃんと相性最悪だな
しかも、今回でお父さんが個性追加してるってことがわかったから、もしかしたらお母さんや尖鋭だって追加してる可能性はある
それに、お父さんが追加した個性があれ1個だけとは考えにくい
効率主義で絶対的に優位を取りたいのあの人なら、2つや3つ追加してると考えた方が妥当
闇雲に攻撃を仕掛けに行くのも無謀だし、無闇に技をみせびらかす訳にも行かない
どうする?
探るか?
いや、危険すぎる
無闇に飛び込んだ所でこっちよりも人数比が高いあっちの方が有利に決まってる
でも、まだ呆然として尖鋭が動けない間にカタをつけたいところだ
それにこの状況で向こうが所持している個性を知る方法が見当たらないから、どうにか攻撃を続け、探るしか無さそうだ
すると、お兄ちゃんは片手を体の後ろでマルを書くハンドサインをした
これも計画のサインなのだ
第1作戦じゃなくてもうひとつの作戦に変更するということか、
私はディスカイズMを取りだし、お父さんたちの元へと走った
私はお父さんの腹部を狙って蹴りを入れたはずが、バリアのようなもので遮られていた
拳で思い切り叩いてみてもびくりともしないから、多分時間制限的なバリア型の個性だろうな
これはカウンター狙いで行くしかない
次にディスカイズMで、かっちゃんの爆破を起こしてみるものの、やはりバリアのおかげで遮られてしまう
お兄ちゃんが咄嗟にお父さんの裏側に周り、蹴りを入れようとしたが、今度はお父さんのポッケからメスが出てきてお兄ちゃんを追いかけた
こっちは、また厄介なものだな
鉄の操作か?
条件がなんでもありならチートすぎる
それにこの場には尖鋭も居るから、やばい
厄介なものが2倍になった
すると、メスは30秒ほどお兄ちゃんを追いかけたあと、コトリと地面に落ちた
こっちも時間制限式か
それなら良かった
時間制限と分かれば、尖鋭が動けない今、チャンスは間違いなくこちらに向いている
今のうちに畳みかけよう
お兄ちゃんも同じことを考えていたのか、私にまたまた合図を送ってきた
と、同時に私は少し距離を取り、お兄ちゃんは別の呪具に持ち替えた
冷たい風を浴びながらお兄ちゃんは口を開いた
領域展開
実虚幻影:橙環天
虚図嘘が使用していた領域展開
この領域を展開している間、領域を展開している者が支配者となり、支配者につき1人までのプレイヤーを設定できる。
支配者はそのプレイヤーの能力の実像的効果(左右上下反転。簡単には、あべこべのような状態で、元々の能力とは全く反対の能力となる効果)もしくは、虚像的効果(能力はそのままに、強度、威力のみを増加)を発動させることが出来る。
また、設定されたプレイヤーは自由に動くことは出来るものの、支配者による虚像的効果、もしくは実像的効果を無効化にすることは出来ず、領域から出るとしても支配者側が領域を閉じる、もしくは関係を破棄するしかない
支配者がプレイヤーを選ぶ際には、支配者がプレイヤーに五指で触れることが必要であり、関係を破棄する際には再度五指で触れる、もしくは支配者かプレイヤーが意識を失うことが条件となる
そして現在、領域内の支配者となる夜はプレイヤーとして、あぶくを選択している
お兄ちゃんは呪具を大きく振りかざし、指揮をするように手軽に右、左と合図をした
合図された通りに私は右、左の順でお父さんに向かって攻撃を入れた
同じくお父さんは個性を使い、バリアをしたかと思われたが、実像的効果が私に発動しているため、私の蹴りはお父さんのバリアを見事に破り、お父さんの肩をかすめた
お父さんはボソリとそう呟くが、私はそんなことお構い無しに攻撃を続けた
時折、隙を見て虚像的効果を交えながらしているせいか、動きとインパクトが予測できないらしい
しかし、こんなとこで油断はしてられない
とことん潰さないと、
優しさを見せた方が負ける
そんな事私が身をもって学んだ
攻撃を入れ続けていた私に対し、お父さんはただただバリアを貼って避けるだけだった
うるさい
うるさい
うるさい
私はこの時、心のどこかでまだお父さんたちに常識があると思っていた
まだお父さんに同情の心があると思っていた
私達が今まで一緒に暮らしてきた数年間が私たちを少しでもつなぎ止めてくれるとでも思っていたんだ
家族ってものがまだ私たちの中で繋がっているものだと思い込んでいた
お父さんは返事の代わりに右手でなにかの合図のようなものをした
それと同時に隣に立っていただけの、今回ここに来て一言も喋っていない、なんなら俯いているおかげか顔が見えていないお母さんが動き出した
「え?」
お兄ちゃんが声を荒げ、そちらに私の意識が向いた瞬間、お母さんが異様な動きをした
異様な動きというのは、明らかに早いスピードで、お母さんが地面に向かって拳で叩いただけで凹んでいるのだった
なにが、起きてるのか
そんなこと考えなくても、目の前にいるお母さんの顔を見れば一発でわかった
意志のない、もう人ではないかのような表情と言ううか、顔
間違いなく、目の前にいるのは、お母さんではなく
お母さんの格好をした特級相当の呪霊だった
お兄ちゃんの声は聞こえていたはずなのに
私に向かって突っ込んでくるお母さんは見えていたはずなのに
その後ろでニヤニヤとしているお父さんが見えていたはずなのに
私の足は磁石のように地面にピタリとくっついて、体は石膏で固めたように思うように動かなくて
お母さんの右手の拳をモロにお腹に食らった
お腹に痛みが走り、口の中が血の味がする
何が起きている
今目の前で起きていることは本当に現実なのか
受け入れたくない情報がいくつも入ってきて
その場から動くことが出来なかった











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。