翌日。放課後。
島の案内を晴くんにお願いしたのだが、補習やらで忙しいみたいなので別の人に頼んだって言ってたけど、誰だろう?
校門前で待っていると、ふと視界の端にカラスの羽根が落ちてきた。
ひらひらとゆっくり落ちていくそれを掴み、まじまじと観察する。
真っ黒な光沢が輝く特に変哲のないカラスの羽根。それなのに何だろう、いつもなら対して気にしないのに今日だけ反射的に掴んでしまった。
羽の芯のところを細く削り、黒インクを付けたら羽ペンが作れそうだ。一応拾いものなので、家に帰ったら消毒も忘れずに。
しばらくカラスの羽根を眺めていたら、校舎から最近見覚えしかない金髪高身長が歩いてきた。
そう、佐野くんである。
聞き捨てならないセリフが聞こえ、驚きで声が裏返ってしまう。デート?デートって、恋人同士がらんらんらーんってするやつのことだよね。
晴くんは一体、佐野くんに何て言ったんやろか?
それからオススメの飲食店や海など、ひと通り島を案内してもらっていると、すっかり日が暮れていた。海は海開きしていないから、まだ入れそうになかった。
嘘は言っていない。今日は本当に楽しかった。
初めは、初対面で婚姻届を差し出されたこともあって警戒していたが、晴くんが代わりを任せただけあって、案内の内容がスラスラと頭の中に入ってきたし、歩いている時の会話が途切れなかったので時間があっという間に溶けてしまっていた。
どうして私のことを好いているのか、まだ分からないけど、今日一緒にいて佐野くんは良い人だって分かった。
最後に二人で仲良く写真を撮って、学園長室前で解散。
学園長さんに家まで送ってもらう。
家の玄関前で学園長さんに頭を下げ、近くのお土産市場に売っていた桃の果肉入りゼリーを弐年参組人数分を袋に詰めてお礼と称して手渡す。
学園長さんはそう言って、ぬるっと帰って行く。
それを見届けて家に入ると、私は目を見開いた。
なぜなら、冷蔵庫を漁っているジャージ姿の男性がいました。
男性は私と目が合うと、数秒固まったままニッコリ微笑み、また冷蔵庫に視線を移した。
ブツブツと呟きながら冷蔵庫を漁る男性。
私は恐怖で固まって動けなかった。
壁を背にしてポケットの中に突っ込んでいたスマホで警察に連絡をしようとするが、スマホの感触はない。
男性はひらひらと私のスマホを掲げて見せた。いつの間に奪われて....これじゃあ、通報することができない。
勇気を振り絞って叫ぶが、あまりの恐怖心で声が小さくなる。
牛乳やらを袋に詰め終わったのか、私に近づいてくる男性。
男性の手が触れそうになった瞬間、バチッ!と電気のような感覚が走り、男性は私から距離を取った。
男性は驚いたように自分の右手を眺めている。
何かを言いかけた男性の側面から、急に現れた佐野くんが上段蹴りをぶちかました。
軽口を叩きながら嘘泣きをする男性。
チラッと床に倒れている男性に視線を移す。男性は正座のまま学園長に怒られていた。
反省しているなら、警察に突き出すのはやめて代金だけもらって許そうかな.....。
全然反省していなかった....。
佐野くんに睨まれ、男性はスマホを返してくれた。
よ、良かった〜.....。
夢主ちゃんのアイコン変えました〜!
安倍家特有の立派なアホ毛と、退魔の力持ちなので、晴明くんにとっての数珠みたいなやつを追加。
制服と構図は寧々ちゃんを参考にしてます。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。