第27話

‎𖤐〈⑩〉
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2026/01/25 06:07 更新
 








ロビーは静かだった。





試合と試合の合間、いつもより人も少ない。







あなたのカタカナで下の名前はソファに座り、いつもの帽子を指でつまむ。






artful
artful
……その帽子
(なまえ)
あなた
ん?
artful
artful
外したところを
artful
artful
私は、まだ見たことがありませんね






少しだけ、間が空く。




(なまえ)
あなた
……別に、大したもんじゃないよ









そう言いながら、帽子を外す。






ふわり、と落ちる髪。



照明に反射して、柔らかく揺れた






artful
artful
……






言葉が、止まる。




(なまえ)
あなた
なに、変?
artful
artful
いえ









artful
artful
……可愛いです
(なまえ)
あなた
……え?






一瞬、理解が追いつかない。





(なまえ)
あなた
今、なんて
artful
artful
聞こえた通りです









視線を逸らす。




耳が、はっきり赤い。




(なまえ)
あなた
……そういうの
(なまえ)
あなた
急に言うのやめて
artful
artful
事実ですので
(なまえ)
あなた
……っ
 





帽子を持ったまま、黙り込む。





少しして、あなたのカタカナで下の名前はアートフルの隣に座り直した。




距離、近い。





(なまえ)
あなた
……眠い
artful
artful
……お疲れですね
(なまえ)
あなた
ここ、静かだし









そう言って、
アートフルの肩にもたれる。




artful
artful
……




一瞬、身体が固まる。





(なまえ)
あなた
や、嫌なら言って
artful
artful
いえ





すぐに否定。





artful
artful
……嫌ではありません








むしろ、そっと姿勢を調整して、
あなたのカタカナで下の名前が楽になるようにする。







(なまえ)
あなた
……あったか






小さく笑って、目を閉じる。





アートフルは、動けなくなった。






artful
artful
(近い……帽子も、ない……)






あなたのカタカナで下の名前の寝息が、少しずつ規則正しくなる。





artful
artful
……無防備すぎます(小声)
 





指先が触れそうで、触れない。




artful
artful
(可愛い、などと、簡単に言うべきではありませんでしたね)







でも。




あなたのカタカナで下の名前が、少し身じろぎして、
無意識にアートフルの服を掴む






artful
artful
……






今度は、はっきりと照れる。




artful
artful
……困りました(小声)











そう言いながらも、
離れる気はなかった。








ロビーの扉が、きぃ、と小さく開く。





Devesto
Devesto
……ふーん
 






低く、含みのある声。







あなたのカタカナで下の名前は気づかない。





アートフルの肩に寄りかかったまま、静かな寝息を立てている。





Devestoはその光景を見て、口元を歪めた。





Devesto
Devesto
これはこれは
Devesto
Devesto
珍しいものを見たな





一歩、近づく。




その瞬間。




artful
artful
——お静かに






低く、しかしはっきりとした声。




Devesto
Devesto
起きてたのか







アートフルは視線だけを向ける。





身体は動かさない。





あなたのカタカナで下の名前を起こさないために。






artful
artful
寝ています
artful
artful
ですので、静かにしてください
Devesto
Devesto
へぇ……







わざと、少し身を屈めて覗き込む。




Devesto
Devesto
随分と大事にしてるじゃないか
Devesto
Devesto
いつもは余裕ぶってるくせに
artful
artful
……







一瞬だけ、眉が動く。




artful
artful
余計なことは言わないでください
Devesto
Devesto
図星か?





と笑う。




Devesto
Devesto
まさかお前が
Devesto
Devesto
誰かに肩を貸して、寝かせる側になるとはな
artful
artful
……それ以上近づいたら
artful
artful
マジックではなく、力で排除します
Devesto
Devesto
怖い怖い






けれど、距離は保ったまま。




Devesto
Devesto
安心しろ
Devesto
Devesto
起こす趣味はない






ちらりと、あなたのカタカナで下の名前を見る。





Devesto
Devesto
……しかし
Devesto
Devesto
本当に、よく眠ってる
artful
artful
……ええ






声が、ほんの少し柔らぐ。





artful
artful
信頼しているのでしょう。私を
Devesto
Devesto
はは
Devesto
Devesto
それ、自覚あるか?
Devesto
Devesto
お前が一番やられてるぞ
artful
artful
……





否定しない。




Devesto
Devesto
まあいい





最後に一言。




Devesto
Devesto
起きたら言っとけ
Devesto
Devesto
似合ってた、ってな
artful
artful
……言いません
Devesto
Devesto
だろうな






笑い声だけ残して、去っていく。





静寂が戻る。





あなたのカタカナで下の名前が、少しだけ身じろぎする






(なまえ)
あなた
……ん
artful
artful
大丈夫です
artful
artful
まだ、休んでいてください







囁くように。





あなたのカタカナで下の名前はそれに答えるように、
アートフルの肩に、もう一度体重を預けた。







artful
artful
……
artful
artful
(……静かにしてください、ですか)
artful
artful
(本当に必要だったのは)
artful
artful
(私の方でしたね)









そう思いながら、
その時間を、壊さないように守り続けた。








主
Devestoめ、空気を読んでくださいよ⳻_⳺
主
⳻_⳺

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