前の話
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お母さんが凄く悲しい目で見てくる。
僕はじっと見つめるしかなかった。
声も出さず、字も書けずの5歳の僕に何が出来るだろう。
僕のお母さんに僕の気持ちは伝わらない。
僕にお母さんの気持ちは伝わるのに伝えられない。
お姉ちゃんもお兄ちゃんもいないから僕は自分でお母さんを守らなければいけない。
だけど気持ちは伝えられない。
字も書きたい、お母さんと気持ちも伝える事も出来るようにしたい。
ワガママなのは分かっている。
自分が出来ない事を言っているのは分かっている。
もう手遅れなのも会えない事も自覚している。
いくら叫んでも聞こえないここに居る僕はどうすればお母さんに『大好き、ごめんなさい』を伝えられるのだろうか。
伝え方は僕には分からない。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。