静かにリビングの扉を開ける
目尻を下げて、口角は緩く曲げる。
柔らかく、上品な笑顔で。
新聞を読んでいた、目つきの鋭い黒髪の男が振り返る
父は、元俳優だ。
世界中を飛び回っていたと言う。
まぁ、所謂スターと言う奴である
そんな父だからか、私が物心つく前から演技の指導をしていたらしい。
因みに、今やっていたのも朝の練習の一環
事前に父から出されたお題の通りの役を演じると言うものだ。
今回はある財閥の令嬢と言う役だった
その役を一日中演じきる
学校以外は食事中も、部屋で勉強してる時も全て、だ。
365日一日中演技し続ける。
プロの俳優でも難しい事を、中学生の少女がやっている
途轍もないストレスが掛かっている事だろう。
しかし、この少女のストレスの原因はこれだけではない。
そう言って母は、髪の先を指差した。
可笑しい。
真っ直ぐになる様にきちんと整えたのに。
私は、両親に褒めて貰った事がない。
もっと、完璧に近づけば褒めて貰える。
きっと_______________________________________。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。