次の日。
前日泣きすぎた目はまだ少しだけ腫れてるけど、
昨日よりずっと良くなった。
玄関を開けると、私は体が「く」の字のようになった。
可愛い顔してどこにそんな力があるのやら。
飛びついてきた百合によって、
私は体が吹っ飛びそうになった。
飛びついた状態のまま強く百合に抱きしめられる。
いやこれ抱きしめるって言うより締め付けられてる。
久々の登校。
僕は無事に教室にたどり着けるんだろうか…。
って言ってたら目の前で教室のドアが開く。
んー。無慈悲。
緊張で心臓が口からまろびでそうだったが、
すぐに引っ込んだ。
輝がわざわざお出迎えしてくれた様で、
少しだけほっとした。
輝はいつもの様にクールな顔のまま。
でも仲のいい人ならわかる。
めっちゃ目がキラキラして嬉しそう。
ご主人の帰りを待ってた犬みたいだな…
そんなこと言ったら拗ねるから言わないけど。
あんまり抵抗すると、力自慢の百合に吹き飛ばされそうなので、ゆっくりと教室に入る。
そこにはすでに登校してきた生徒たちがそれぞれ談笑している。
こっそり忍足で入ろうとしていると、1人の声が教室に響いた。
一斉にこちらを向くクラスメイトの目、目、目。
怖い。逃げたい。
けど私のそばには百合も、昴も、輝もいる。
大丈夫だと自分に言い聞かせて深呼吸。
噛んだし。
そこからはクラスメイトたちの質問責め。
なんで休んでたとか、なんで髪切ったのとか、なんでスカートじゃないのとか、ワックス何とか。
というか最後のはどうでも良いだろ。
もっと他に聞くことなかったんか。
一つ一つの質問がちくり。
みんな悪気はないんだろうけど、
自分にとっては少しだけモヤモヤする内容で、
なんと言うか…息苦しい。
クラスメイトたちの声が頭の中で響く。
あれ?
今なんか周りが歪んで見える。
答えなきゃ、そう思ってるのにうまく言葉が出てこない。
と言うか、なんで私今までクラスのみんなに自分の事を隠してたんだっけ?
あ、そっか。
こういうことか。
気持ち悪さを押し込めながら輝の方を見ると、
輝はクールな顔のまま。
でも、僕ならわかる。
すっごく心配してる、真剣な顔だ。
返事もろくにできないまま、
私は輝に支えられながら教室を後にした。
そうだ、こう言うことだ。
今まで通りには接してもらえない。
どこまでも僕は、みんなと違う色なんだ。
ただ、男と女と、どっちでもない自分。
それだけ。それだけなのに。
普通に接して欲しいのに、どうしても好奇の目を向けられる。
悪意なら跳ね除けられる。
そんなの勘違いだ、気持ち悪いとか。
でもみんなは、
特別なんだから受け入れなきゃ!
と悪意なき言葉で僕を刺す。
僕はこれが怖かったんだ。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。