輝に支えられながら訪れた部室。
百合と昴も着いてきてくれたようで、百合が私と輝の代わりに部室のドアを開けてくれた。
百合や昴。輝。迎えてくれた部長と私を心配して怒る雷の顔や声が、込み上げていた吐き気をすうっと鎮めたと同時に、今度は別の感情が込み上げる。
つい昨日泣いてしまったばかりだと言うのに、
私はまたみんなの前で子供のように泣いた。
泣きじゃくって話せない私の代わりに、昴が教室での出来事を話してくれた。
桐也部長は演劇部の部長と仲が良いみたいで、
百合と昴とは顔を合わせた事があるらしく、
雷は前に聞いていた通り、昴と仲が良いらしい。
そのせいか、私のことを話すだけでコントのようなボケとツッコミが飛び交う会話で、私はすっかり落ち着きを取り戻した。
いつもそうだ。逃げて、逃げて。
逃げている自分が嫌になって、そんな自分からも逃げる。
本当にどうしようもない。
俯き、また涙が滲む視界に、桐也部長の美少女フェイス…いや、男性なのだから美少年フェイスかな。
私の顔を覗き込むようにしゃがみ込んだ部長の顔は、
見たこともないくらい優しい顔をしていた。
そう言って部長は僕の頭を優しく撫でた。
暖かくて、優しくて、自然と口元が緩む。
雷がなぜかすごく拗ねた顔してこちらを見てる。
え、なに?
初めて聞いた雷の男っぽい口調に、なぜかときめいてる自分がいた。
なんか……良いな。
百合が優しい女神のような顔で僕を見つめてくれた。
そう言ってまた頭を撫でられた。
静かに涙が頬を伝う。
あんなに辛かったのに、辛い気持ちはいつの間にか消えていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!