第8話

濁る色
50
2024/10/10 12:37 更新
黒須 燐
へぇぁ〜終わった〜…。
村雨 雷
お疲れ。
真宮 咲乱
燐先輩は3位ですね。
課題終わるのが1番最後の人は買い出し担当と聞いて頑張ったけど、雷と桜乱に敵わず3位。

2人とも頭いいんだなあ…。

ちなみに桐谷部長がまだ終わってないので、最下位は桐谷部長って事になるけど…。
真宮 咲乱
いつも通りですね。
村雨 雷
うん、いつも通り。
黒須 燐
いつもなんだ……。
村雨 雷
部長、成績ヤバくて
いつも先生に怒られてるから。
三笠 桐也
はは……愛の鞭という奴だな…。
いつもハキハキと喋る桐也部長が萎れてる。
本当に勉強苦手なんだ…。

まあ、-2点をとった百合よりはマシだろうけど。
なんだよマイナスって。
真宮 咲乱
じゃあ、私は烏龍茶と
購買のチーズパン一つで。
村雨 雷
俺はカツサンド二つとコーラで
お願いします。
黒須 燐
えっ、雷そんな見た目なのに
ガッツリ食うじゃん。
村雨 雷
え、ひ、引いた…?
黒須 燐
逆。なんかええなって。
村雨 雷
あ、ありがとう…?
真宮 咲乱
そこ!なに私を差し置いて燐先輩と
ラブコメってるんですか!
村雨 雷
し、してないよ…。
黒須 燐
んじゃあ、僕はお水と
レタストマトサンド一つで。
真宮 咲乱
燐先輩ヘルシーですね。
黒須 燐
引きこもってたから体重増えちゃって。
課題は終わってるとはいえ、通常ならまだ四限目の授業が行われているのもあって、私たちは小さな声でヒソヒソ話してる。

なんか、常に自習って感じで楽しいな。
三笠 桐也
はは…やっと終わった…。
机の上で潰れてる桐谷先輩には、先日家へ押しかけて来た時の迫力も威厳も無くなってた。
黒須 燐
お疲れ様です。
三笠 桐也
本当に疲れた……。
ヘロヘロの先輩が机にタップしたまま手だけをこちらにひらひらと振ってみせたのと同時に、四限目の終了のチャイムが鳴った。
この教室で過ごす初めての昼休み。
三笠 桐也
はあ…今日も俺が買いに行くのか…。
真宮 咲乱
そう思うなら
勉強頑張って下さいよ受験生。
三笠 桐也
やめてくれ…その言葉は俺に効く…。
重たい腰を上げた桐谷部長の元に、更なる試練がやって来た。
教室のドアが開いたと思えば、泉と輝。
桃田 泉
自分、焼きそばパン二個。
黒木 輝
俺はクリームパンとメロンパンで。
三笠 桐也
だーーーっ!
なんだお前らは!
自習レース参加者じゃないだろ!
黒木 輝
燐がいるからこっちで食べようと思って。
桃田 泉
多分また部長が行くだろうと思って…。
この人たちは一応、部長に導かれてこの部に入ったんだよね?
先輩の事をめちゃくちゃこき使ってる気がするけど…。
うなだれた部長は何かを思いついたかのように僕の方をバッと見てきた。
え、何こわい。
三笠 桐也
燐…確かビリから2番目だったな…?
黒須 燐
はい…そ、それが何か…?
嫌な予感がする。
部長がいつもの不適な笑みを浮かべるのを見て、
その予感は確信へと変わった。







三笠 桐也
燐、お前も一緒に来るんだ。
黒須 燐
いやですよ!せっかくビリ回避したのに!
三笠 桐也
この人数の買い物を俺一人で持つのは
無理だ。
情けないセリフを堂々とドヤ顔で言う先輩。
あの日の頼り甲斐やカリスマ性はどこへ行ったんだろう。
黒須 燐
あーもう!分かりました!
行きます!
購買は戦場だ。
買いたいものは人の波を掻い潜って進まなくてはいけない。
三笠 桐也
燐!焼きそばパンは確保した!
黒須 燐
全員分の飲み物オッケーです!
三笠 桐也
あとは雷のカツサンド2個!
燐行けそうか!
黒須 燐
なんとか行けそうです!
お互いに声をかけながらみんなの分の物を確保。
今日は敗北せずに済んだ。
気を抜くとすぐに売り切れて、誰が買うのかよく分からないパンだけしか残ってないとかもある。

塩辛クリームサンド。略してしおくり。
仕送りと音が同じだから、みんな仕送りって呼んでる。
黒須 燐
今日は仕送り回避できましたね。
三笠 桐也
みんな仕送り嫌だと言うが、
俺はアレ意外と食べれるぞ。
黒須 燐
アレを…?どんな味覚してんの…?
ガヤガヤとまだ人で溢れかえる購買から教室に戻ろうと歩いていると、視界の端っこに知ってる顔が見えた。
黒須 燐
っ!
思わず先輩の陰に隠れるように身を寄せる。
三笠 桐也
どうしたんだ?
俺にひっついて。
俺のこと好きなのか?
黒須 燐
違います。
拍子抜けする先輩の一言に肩の力が抜ける。
先輩の肩越しに見ると、もうすでに購買の方へ消えていったみたい。

見た目を変えて、環境も変わって。
なのに私自身は何も変わってないじゃん。

心のモヤモヤが残ったまま、みんながお腹を空かせてまっている教室へと急いだ。

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