夜、そこが俺の仕事場。
誰もいない、誰も合わないこの時間に閉じ込められる。
当たり前だ、こんな体質なのだから。
さぁ、
今日も見たこともない月人の監視とやらに行きますか。
遠くから聞こえた
楽しそうに笑う声は聞こえないふりをした。
地球。遥か昔に滅んでは人は三つに分かれた。
肉 骨 魂
その内の骨が俺たちだ。
魂は月人、肉は海の中に住むアドミラビリス。
それぞれが別の場所で活動しているが、
月人はたまにこちらに来ては俺たちを狙う。
だから俺たちは自分たちで身を守るようになった。
ロボロ。
名付け親はいない。
何となく、いつのまにか
自分の名前はロボロだと名乗る様になっていた。
強い毒性を持つが故か、
俺はずっと長い間一人で夜のこの場所を見張っている。
月人が来てもいい様に。
遠くの方に俺の同胞、と言うか「骨」の奴らがいる。
そこには行かない。
強い毒を
体外に常時放出しているのに行けるわけがない。
まだ、俺は月人を撃破したことがない、
数少ない宝石だ。
星は俺に似ている。
それぞれが近い様で遠く離れていて、
真っ暗な夜にひとりぼっちでいる。
何となく、あんな綺麗なものに似ているなんて
烏滸がましいかもしれないけど、
そうでないと夜は孤独だ。
〜zm視点〜
ここだと相棒が決められる。
それは基本的には
できるだけ硬度が同じやつと組むべきなんやけど、
ほとんどがバラバラだ。
なんなら冬にしか起きない兄さんなんて、
常時忙しいしんぺい神と組んでいる。
そうそう二人は会えないのに
未だ相棒なのだから不思議だ。
他にはオスマンとひとらん、チーノとエミさん、
コネシマとショッピくん、大先生とシャオロン、
グルッペンとトントン、
相棒が未だいないのは
俺とレパロウとみかるとゴットだ。
トントンに個人情報の入った書類を持って来い
と言われたから
棚に入ってあった書類を取り出して持っていく。
個体名 ゾム
石名 ブラックダイヤモンド
別名 ボルツ
硬度 最高硬度の10
詳細硬度、靭性共に最高品質で戦闘狂とも言われる
個体名 兄さん
石名 アンタークチサイト
別名 南極石
硬度 3
詳細 夏は液状だが、冬になると固まる
寒ければ寒いほど強くなる
個体名 しんぺい神
石名 ルチル
別名 針水晶
硬度 6
詳細 医療を担当している。
宝石を接合し、元に戻す仕事
個体名 グルッペン
石名 イエローダイヤモンド
別名 ジミーカラー
硬度 10
詳細 最年長で宝石のトップ
個体名 トントン
石名 ジルコン
別名 風信子石
硬度 7半
詳細 書類と戦闘、どちらもこなす
個体名 オスマン
石名 ジェード
別名 翡翠
硬度 7
詳細 非常に靭性が高い
個体名 ひとらんらん
石名 ダイヤモンド
別名 金剛石
硬度 10
詳細 最高硬度の10だが、靭性が低く、ゾムより弱い
個体名 コネシマ
石名 アメシスト84
別名 紫水晶
硬度 7
詳細 ハート水晶と呼ばれる双晶アメシスト、双子
個体名 ショッピ
石名 オブシディアン
別名 黒曜石
硬度 5
詳細 武器制作担当
個体名 鬱
石名 アメシスト83
別名 紫水晶
硬度 7
詳細 ハート水晶と呼ばれる双晶アメシスト、双子
個体名 シャオロン
石名 モルガナイト
別名 ピンク・ベリル
硬度 7半
詳細 特に無し
個体名 チーノ
石名 ゴーシェナイト
別名 ホワイト・ベリル
硬度 7半
詳細 特に無し
個体名 エーミール
石名 ユークレース
別名 無し
硬度 7半
詳細 月人の出現時期などの分析を主に行う
個体名 レパロウ
石名 アレキサンドライト
別名 変色する宝石の王
硬度 8半
詳細 月人の情報収集、分析を主に行う
個体名 せらみかる
石名 レッドベリル
別名 レッドエメラルド
硬度 7半
詳細 宝石たちの服飾を担当している
個体名 ゴット
石名 不明
別名 不明
硬度 不明
詳細 月人を一撃で追い払う力を持つ
個体名 ロボロ
石名 シンシャ
別名 賢者の石
硬度 2
詳細 硫化水銀からなり、強い毒性を持つ
あれ?こいつ誰だ?
兄さんのことも知ってるから
大体の人と会ったことあると思っとったんやけど...
誰やろ?
まぁいいや、後でゴットにでも聞いてみよ。
zm「トントーン!」
扉をばんっ!と開けると木製だったから
かきぃっと音を立てて割れた。
あ、やべ...
tn「なぁにやってるんですかねぇぇ???」
zm「いや、
えっとぉぉぉ、俺に耐えられないドアが悪い!」
tn「んなわけないんですよねぇ!」
zm「ま、まぁ取り敢えずファイル持ってきたで」
tn「あ、ありがとうな」
zm「トントンはロボロって知っとる?
なんか書いてあったんやけど知らんから」
tn「あ〜書類上で名前は何回か見たけど
俺もよく分からんわ」
zm「せやんな!」
tn「まぁゴットに聞けばええんやない?」
zm「今どこにおるん?」
tn「しらん。チーノに聞けば分かるやろ」
zm「ありがとな〜!」
そう言って割れた扉をジャンプで通り越して
チーノのところに向かっていった。
後ろからトントンの怒声が聞こえたのは気のせいだ。
やっぱりゴットがなかなか見つからないから
しばらくチーノを探すと結局エミさんの書室にいた。
zm「邪魔すんで〜」
ci「邪魔すんなら帰って〜」
zm「あいよ〜」
部屋の中に入ると書類で溢れかえり、
物が散らばっていてあんまり好きじゃない。
em「ゾムさんやん、どうしたんですか?」
zm「いや、チーノに用事があんねん」
ci「俺ぇ?」
チーノが気の抜けた様な返事をする。
あ、待ってエミさんならロボロ知っとるかも。
zm「あ、でもエミさんなら知っとるかも?
あんな、ロボロってやつ知ってる?」
em「ロボロ?人の名前ですか?」
zm「そーらしいわ」
em「知りませんね〜月人のことなら分かるのですが」
でた、月人マニアや。
その話をさせると話が長くなるから話題を切る。
zm「使えんわ〜」
em「酷くないですか?!」
ci「俺も知らんわ〜ゴットに聞きにいったん?」
zm「ゴット見つからんから
チーノに聞きにきたんやけど」
ci「今の時間やったらそろそろ昼寝終わることやから
部屋に行けばいると思うで」
zm「ありがとーな!」
またゴットの部屋のところに向かった。
一回目の前を通ったからまた戻らなあかんやんけ。
早よいこ。
部屋の前に行くと
ちょうどゴットが部屋から出てくるところだった。
zm「おったおった!ゴット〜!」
gt「はーいゴットでーす。どうしたんですか?」
zm「ロボロって知っとる?」
gt「どこでその名前を?」
zm「書類運んでたらみんなの名前が並んどるところに
ロボロって名前があったんよ。
兄さんにも会ったことあんのに
ロボロってのには会ったことないから何やろって」
gt「戦闘狂のゾムさんのセリフとは思えませんね」
zm「そらそいつと戦いたいからに決まっとるやろ!」
gt「まぁ教えてもいいですよ。
でもできるだけ言わないでくださいね」
ゴットをようやく捕まえて話を聞く。
gt「簡単に言うと
ロボロさんは体からずっと毒を放出するんですよ。
それのせいで私たちも触れないから
戦闘で体が割れても対処ができないんです。
それで戦うのにもリスクが多いから
夜の中に閉じ込めてしまってるんです。
それでもロボロさんは
聡明だからか、何も言わなかった。
ただ、寂しそうな顔で分かったと言ったきり、
私も話したことはないです」
zm「そ、うなんか」
gt「はい、
私たち宝石は夜に活動することは難しいのですけどね。
それでもロボロさんはその中で活動しているんですよ」
そんな奴おったんか、初めて知ったわ。
でもそれやと一度も会ったことがないのはおかしない?
zm「昼は何しとんの?
一回も会ったことないのは流石におかしいやろ」
gt「昼は宝石の活動エネルギーの日光を
夜の分を得るために海の方の草原で昼寝してますよ」
zm「ふーん、それって行ったらあかんとこやろ?」
gt「はい、ロボロさんの毒がありますからね」
zm「じゃあ行ってくるわ!」
gt「え?
いや、ロボロさんの毒を触ったら
しんぺい神さんも治せませんよ?」
zm「そんくらい何とかするに決まっとるやろ!」
gt「流石ですね、気をつけてくださいね」
zm「ありがとうなゴットー!」
そういうと遠くからチーノとエミさんが来て、
ゴットを呼んでいた。
ci「ゴット〜!」
gt「はーいゴットでーす」
遠くで仲良く話している声を聞きながら
早速ゴットの言った草原に走っていく。
さらさらと足を撫でる草を
掻き分けながら進んでいくと、
どろりとした銀の液体が
あたり一面に広がっているのが見えた。
ソレはどろりと粘度が高いからか、
液体なのに流れることなく、ただ草を枯らしていた。
zm「っあっぶねぇ〜」
これがゴットの言っていた毒なのだろうか?
見るからにやばそうで、
そりゃしんぺい神も治せんわな、何て思う。
その毒を避けながら
近くにあった木の頂点にジャンプする。
周りを見るとかなり草原は広く、
青々とした葉が茂り、広大な場所に悠々と伸びていた。
視線を巡らせて
先ほどの毒が広がっているところを見る。
かなり遠く、目視出来るか否かくらいに遠いが、
それでもはっきりと、
宝石の煌めきが太陽の光を受けてきらりと見えた。
そこに目掛けて大きくジャンプする。
もちろん届くわけもないから宙で体を捻らせ、
毒と毒の間、ほんのわずかにある地面を蹴りながら、
まだあったことのない宝石に手を伸ばした。
〜rbr視点〜
宝石は太陽の光を吸収してエネルギーに変える。
所詮植物の様なものだ。
だから兄さん以外は冬は冬眠をするし、
夜は普通の宝石は寝ている。
俺は夜に寝ない分、
昼はできるだけ活動せずに
エネルギーを取り込む必要があった。
何もしてなくても
無尽蔵に毒を垂れ流す俺に近づく宝石もいないから、
ひたすら昼間は寝て、
夜に散歩して、筋トレをして、また寝る。
そんなふうに何をするわけでもなく過ごしている。
だから今日も昼は寝た、はずだった。
「おーい、生きとる〜?」
ぱっと人の声で目が覚める。
目を開けると今までゴット以外の宝石を見た。
rbr「うぇ?!」
zm「お、起きた起きた」
最早浮いているようにも見えたが、
よく見ると
ミルクティーのような茶色の髪がかなり伸びてて
それが地面には張り巡らされ、体を支えている。
rbr「いや?どう言う状況?
と言うかあんさんだれ?」
zm「ふーん俺はゾムだぜ!」
勢いよく起き上がると毒があたりそうだから
ゆっくりと起き上がる。
何なんだ?
こんなことにどうやってきたのも分からない。
全部理解が出来ない存在が
目の前にあることなんてそうそうない。
rbr「で、どうやってきたん?てか毒大丈夫?」
zm「俺は大丈夫やで!そんなことよりも戦おうや!」
rbr「は?」
zm「お前ロボロやろ?
たまたま書類で名前見つけたからな、
まだやりあったこのないからやろうや!」
rbr「いや、
あんさんどう見てもブラックダイヤモンドやろ。
勝たす気ないやんけ!」
zm「ヒヒッ、まぁまぁ、やろうや!」
rbr「やり合ったらゾムが困るんやけど?!
治せへんぞ?!」
zm「あれ?それ知っとるん?」
はぁ?何を言っとるんや、
こんな何もないとこに好き好んでだれがいるか。
あんさんらに迷惑かけるからこんなとこにいるんや。
rbr「俺がわざわざこんなとこにおるんやから
そっちから近づいてくんなや!」
やってしまった、
ゾムのことを反射的に睨みつけてしまった。
顔は面で隠しているが、圧は面で隠せない。
少し驚いた様だがそれでも引くことはなかった。
zm「別に俺はここにいとけって言ったわけやないし」
それは、そうやけど...
zm「まぁ一回やしええやん?」
rbr「...しゃーない、ワシは知らんぞ?」
zm「誰やと思っとんねん!」
rbr「出会った瞬間殺り合おうって言ってくるやつ?」
zm「誰やそれ、酷いやつやん」
rbr「あんさんや」
zm「せやった」
初めて会ったようなのに
どこか懐かしい雰囲気のゾムという男の、
フードのしたの
緑がかった黒の瞳が懐かしそうに俺のことを見ていた。
〜zm視点〜
少しだけお面の間から見えた、
桃色がかった黒の瞳が何となく懐かしい。
見た目は多少なりとも変わった様で、
性格は何も変わってないやないか、
なんて思ったのは多分気のせい。
ようやくゴリ押しでロボロとタイマン出来る!
どんくらい強いんやろ?
硬度は2やけどとにかく毒がやばすぎる。
どう攻略しよ。
rbr「で?タイマンってどうやんねん」
zm「やったことないん?」
そう言った瞬間、失言に気づいたが、
そんなことはちりほどもきにしていないようで、
rbr「あるわけないやろ、アホか」
なんて言ってくる。
おもろいやっちゃなぁ。
zm「しゃーないから説明したるわ。
まず基本的にルールは無い!
けど相手が死なん程度に戦うこと。
相手が降参したら攻撃しないこと。
死ぬ前に降参すること。
この三つだけやで!」
rbr「あんさんを戦闘不能にはさせたくないんよなぁ」
zm「何とかなるやろ!」
rbr「ほんまかぁ?」
zm「ようは毒喰らわなええやん!」
rbr「はぇ〜意味わからん」
zm「まぁまぁロボロやろうや!」
rbr「俺は知らんで〜?勝てる気せんわ〜」
zm「ヒヒッ、それじゃよぉーいスタート」
手始めにロボロに向かって突進をする。
毒を避けながら進むので
いつもより少し遅くなってしまう。
rbr「うぉ!」
首を狙った攻撃をさらりと避ける。
そういやロボロ壊したらどうしよ、治せへんよな?
まぁいっか!そん時考えりゃええやろ!
畳み掛ける様に
長く鋭く伸ばした髪を操りながら攻撃をする。
普通ならこれだけでかなり疲弊するのだが、
ロボロはそんな様子はない。
zm「ええやんええやん!」
やっぱり強いやんか!
ロボロが自身の毒を上手く操り、
こちらに飛んでくる様にする。
急いで少し離れたところにある足場に着地した。
が、髪が少し触れてしまったのか、
じゅわっと白い湯気を出しながら溶けていった。
あれ?これやばいやつでは?
zm「あっぶな!」
rbr「あ、こんなに危ないんや」
本人も分かっていなかったらしい。
そりゃそうか。対して宝石と会っていないみたいだし。
これ、最悪ナイフも溶けへん?
地面にある毒に少しだけナイフを付ける。
その場所が真っ黒く焦げる?様な感じがした。
切れ味も悪くなっている。
最悪や、ショッピに怒られる。
まぁええか!
どうせダメになるのだし、と
ナイフで防ぎながら腕を思い切り切り落とした。
rbr「あ、」
すでにナイフはもう使い物にならない。
zm「降参、やな」
rbr「切り落とされたの俺やけどな」
zm「め、めっちゃ強いやんロボロ!」
苦笑しているロボロにそう言った瞬間、
少し、沈黙が降りた。
〜rbr視点〜
その強さが無ければ俺も今頃あそこに入れたんかな。
なんて何度考えたか。
もう諦めたことだし気にしてもいないのだけれど。
rbr「まぁ、ありがとうな」
zm「あ、っえっ、とすまん」
rbr「何で謝んねんw」
ほんと、気にしないで欲しい。
同情するなら金をくれ、
ではないけれど同情ほどいらんものはない。
ただ、他人に惨めだと言われる様なものだから。
落ちた腕の断面は真紅で、キラキラと光っていて、
黒いが光と紅く煌めいていた。
それを無造作に拾い上げ、自分でくっつける。
rbr「んじゃ、そろそろワシは寝なあかんわ」
zm「あ、そ、そうやな!ありがとうな!」
rbr「はいよ〜」
久しぶりに楽しい時間を過ごせた。
ゴットと会話したのも随分前のことだ。
他人、他宝石と話せたのは
随分と久しくて、楽しかった。
ゾムが無事に戻るのを眺めて、
毒で満たされている草むらで寝転ぶ。
どうしようもないことを考えても仕方がない。
現実から逃げる様に気持ちのいい疲れを感じながら
再び眠りに落ちた。
〜shp視点〜
いつも通り部長を殺しに探していると、
ゾムさんが今にもこの世の終わりの様な顔をして
こちらに歩いてきているのが分かった。
なんなら戦闘モードの格好のまんまなんすけど。
shp「ゾムさん、どうしたんですか?」
少し遠くから声をかけると
ぱっと顔を上げてこちらを見てくる。
zm「しょ、ショッピ!ど、ど、どう、すればええん?」
shp「はい?」
zm「や、やってもうた!
あ、あいつ強いの嫌いなんに、お、おれ傷つけて!」
今にも泣きそうにゾムさんがこちらに何か言ってくるが
意味がわからない。
というか強いのを嫌う人なんてこの軍にいたか?
内ゲバ上等のこの人たちが?
shp「ゾムさん、一旦落ち着いてください。
その状態じゃ何も分かりません」
そういいながら
背中をさすると少しずつ落ち着いたのか、
ゆっくり話してくれた。
zm「あ、あんな?
今日ロボロってやつんところ行ったんよ。
で、それで、タイマンしたらめっちゃ強くて、
それでナイフボロボロになってもうて、
負けたんけど、
ロボロに強いなってい、言ってもうて、
そ、それであいつ一人になっとるから、
傷つけてもうてん」
待て、情報量が多い。
まずロボロって人?って誰や?
会ったこともないはずだ。
それでタイマンしたらナイフがボロボロになるって
何が起きたらそうなんねん!
しかも相手はゾムさんやろ?!
硬度マックスで靭性も半端ないゾムさんが?!
しかも強いから一人になったってどういうことや?!
わけ分からん!
shp「まずそのロボロって人の宝石ってなんすか?」
まず一つ一つ状況を整理する必要がある。
zm「た、
確かシンシャとかそんな感じの名前やったはず」
shp「いつ、なんでロボロさんを知ったんですか?」
zm「えっと、トントンに書類持ってきてって言われて、
そんでたまたま知らん名前があったから」
shp「それがロボロさんだったわけですね?
じゃあ次に聞きますよ?
シンシャの特徴は何ですか?」
zm「っ、めっちゃ強い毒を出すから、俺らも危なくて、
それで、」
だからそのロボロって人は隔離されてるのか。
毒を操れるとしたらかなり強いだろう。
それも、
俺たちでは身動きが取れなくなってしまうほど。
そこまで考えて漸くゾムさんの違和感に気づいた。
shp「あれ?ゾムさん髪がなんか変ですよ?」
溶けた様に先がちりちりと細くなっているところが
少しだけあった。
zm「これ、ロボロにやられたんよ」
なるほど、かなり強力な毒なのだろう。
そんな宝石は聞いたことがないが、
実際にやられているとなれば話が違う。
shp「ナイフも見してくれません?」
zm「あ、」
そう言って取り出したナイフは
既に真っ黒に焦げた、
使い物にならないような状態だった。
shp「あ〜、これは、また新しいの作りますね?」
zm「すまん...」
いや、そんな子犬みたいなことされたら
怒るにも怒れんじゃないっすか。
shp「ま、こんくらいいいっすよ」
zm「ありがと!」
かりかりとナイフを触ると腐敗しているのがわかる。
新しくコーティングすると毒も少しマシになるか?
でもそうすると少し切れ味が落ちるんだよな。
刃の所だけ
少しだけコーティング落としても意味ないんだよなぁ。
まぁどうせ
またタイマンすることもないだろうしいいか。
shp「いつもと同じやつでいいですか?」
zm「おん!」
顔色も良くなったし、
少し明るくなってるみたいだし良かった。
shp「じゃ、ワイこれ新しく作ってくるんで」
zm「ありがとな〜!」
shp「じゃ」
zm「またな〜」
shp「はい」
取り敢えずワイはこのどうしようもないほど
腐食しまくったナイフを処理しますか。
破棄するしかないんだよなぁ。
修繕よりも1から作り直す方が大変なんよな。
面倒仕事が舞い込んできたなぁ。
口に新しいタバコを加え、
ふーっと吐いた息は
赤い炎を通り越して宙に消えていった。
〜rbr視点〜
いつも、いつも夢をみる。
真っ暗な中、スクリーンを見つめる。
そこに映し出されているのは人間で、
それも、俺によく似たやつもいた。
やっぱり似ている。
画面の中の「俺」とよくいる人物。
「ゾム」
ブラックダイヤモンドのゾムによく似た「俺」の相棒。
羨ましい。
「俺」はみんなから愛されて、いじられて、
大切にされていた。
それと同じく、「俺」も仲間を愛し、大切にしていた。
夜に生きる俺とは違う、昼に生きる「俺」。
羨ましい、何度思ったか。
もう、それが当たり前で、
「俺」もやはり俺とは違う、全くの別人だ、
なんて割り切れたのはここ最近の事ではない。
そう、思えるまで、少し時間がかかってしまった。
今日も、また「俺」と「ゾム」が一緒にいる。
何でも無い普通の日。
何回も似たような日は見てきた。
なんとも普通という形容が似合う日。
ぼうっとただ何をするわけでもなく、
スクリーンを見つめる。
なんてことない日に見えた。
そのうち、だんだんと不穏な空気が漂う。
異常に強い侵入者が現れ、
ゾムが攫われ、
こんな時に限って味方同士で仲違いし、
だんだんと崩壊に近づいている時、
視界が白んだ。
こんなにキリが悪いところで起きるのか。
しょうがない、また次の昼になるまで待つか。
起きると満点の星空が浮かんでいた。
白く光る星々が点々と散りばめられ、
それぞれが輝く宝石のように煌めいて、
黒い布の上で転がっている。
あれは「ひとらん」の言う天の川か。
少しぼうっと一息ついてから起き上がる。
腕は少しパリッと欠けていたが、
これくらいはどうってことない。
近くに落ちていた破片を拾い集め、くっつける。
すぐに治った、と思う。
治ったかは毒が邪魔して分からなくなってしまった。
ふらふらと夜の中を歩きながら夢のことを考える。
今日ゾムに会ったがあの夢のなかにいるやつと
似たようなやつが他にもいるのだろうか。
会ってみたい、なんて。
こんな体質のくせに傲慢な考えを待ってしまう。
あぁ〜あ、
今日も雨が降りそうだ。
〜zm視点〜
ほかの宝石たちにバレないように今日は寝なかった。
ぺ神にバレたら怒られるけど。
ケツを向けるのだけは勘弁して欲しい。
ロボロは、夜、活動する。
なら俺も一緒に起きててもええやろ!
今日昼間に行った場所にダッシュする。
ほとんどは夜になる前に寝ているから
恐らく初めてみた夜空は思っていたよりも綺麗で、
キラキラと輝いていた。
遠くの方にロボロの影を見つけた。
沢山息を吸って思いっきり声を出す。
zm「ロボロ〜!!!」
〜rbr視点〜
するはずないの声が聞こえた。
rbr「っ?!」
後ろを振り返ると昼間のゾムがいた。
rbr「ゾム?」
できるだけ毒が邪魔しないようにざばっとどかす。
その隙間をゾムが着地する。
zm「おったおった〜遠すぎるわ」
rbr「いや、なんやねん?!なんでここにきたん?!」
ゾムがなんでわざわざここにきたのか。
昼間に毒喰らいかけといてまたくるアホがおるか?
おったわ。
zm「ロボロに謝りたかってん。すまんな」
あぁ昼間の強いって言われたやつのことか。
rbr「いや、本気で気にしとらんかったから別にええで」
zm「そっすか〜
えぇ〜せっかくこのゾム様が来てやったんですけど〜」
rbr「なんやねんw」
zm「wwww」
rbr「で?また殺り会いたいん?」
zm「いや、それはええわ」
rbr「ん?どうせゾムのことだから
またやりたいだけだと思ってたんやけど」
zm「どうせってまだ会ったばっかやんww」
rbr「...確かに」
zm「あっれっれ〜ついにジジイに...」
rbr「うっさいわ!!!www」
zm「wwww」
ひとしきり笑い合った後、また向かい合う。
zm「なぁこれからロボロんとこ来てええ?」
何を言い出すのかと思ったらそんなこと?
それくらいだったら別に構わないが
ここに来たところで何もないけど。
rbr「来るだけやったらな」
zm「じゃあロボロくん
ボッチで可哀想やから来てやるわ!」
rbr「なんでやwお前が来たいゆーたんやろw」
zm「wwww」
でも、嬉しかった。
zm「俺、今日は帰るわ」
rbr「あ、そうなん?」
嘘、知っていた、分かってた。
もうゾムのエネルギーが
足りなくなってきていることくらい。
それでもやっぱり出来るだけ一緒にいたい、
ただそれだけで見て見ぬ振りをした。
やっぱり俺は身勝手だ。
zm「そんじゃ明日〜」
その一言でどれだけ救われただろう。
rbr「また明日!」
妄想なんかじゃない、いい夢が見れそうだ。
氷のように冷たい夜の空気を吸って過ごしていた彼は、
孤独に蝕まれ、
鋭く、
冷たく、
何物も寄せ付けない毒を纏う。
一度他のものが触れれば
白く冷たい煙に変わりはてるその毒は
彼の心を守るように、
蝕んで、
ボロボロに、
自身さえも気づけないほどゆっくりと、
破壊している。
晴天の昼空を夢に見て、
夜の中に生きる彼は、
青空のように眩しく、
暖かく、
自身とは正反対の「彼」に出会い、
憎く、
愚かなその人に、
光を見つけた。
久方ぶりに見た空は薄い青の空で、
その美しさに、
眩しさに、
目が眩んだ。
また、会えたなら、
そんな期待すらしていない思いを込めてまた眠る。
それだけで、
夜は暖かく感じた。
漸く、彼は夢なんていう幻想の世界から抜け出せた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。