海人side
今絶対岸くんがいなくなってしょんぼりしてたでしょ…
まぁでも俺にとっては好都合だもん
…紫耀ありがとう!大好き!!
廉との約束してニヤニヤが隠せないでいると、
紫耀と目が合った
紫耀は少し切なそうな笑顔で、
「良かったな」
と、口パクしてくれた
それって、
どういう意味で言ってんの…?
紫耀と俺が付き合ったら、
廉と岸くんになる、ってこと…?
廉は…岸くんが好きなの…?
モヤモヤした気持ちのまま撮影が始まって、
廉に聞くことが出来ないまま
ソロの仕事に入ってしまった。
今日は廉の方が先に仕事が終わるから、
きっと家で俺を待ってくれてるんだろうけど
インターフォンを押す手が重い
廉の家に入った瞬間、
なんだか、人が交わった後のような独特の匂いがした
廉は少し焦った装いで、
テーブルの上で散らばっていた箱を片付けていた
俺の位置からはゴミ箱の中身が見えてしまった
なんだ…
岸くん以前に、普通にそういう女の子いたんだ…
“好きなやつ”…
あぁ、やっぱりそっちなんじゃん…
・
失恋って
こんなあっさりしたものなんだ…
俺ダサいな…笑
『廉のことが好きだからだよ』
もう失恋したんだから
何も関係ないや…
俺の気持ちを全部
…聞いて
next…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。