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第4話

暇。
69
2024/07/03 13:42
お兄ちゃんが帰ってこなくなってから3週間が経った。
否、別に何も可笑しい事では無いのだ。忙しいお兄ちゃんはあまり家に帰って来ない。私が未だ幼かった頃は割と頻繁に帰って来てくれたが、今となっては1ヶ月何の音沙汰も無いだなんてことはザラだ。
連絡を取れば何があったのか分かるのだが、生憎私は兄の連絡先を持ち合わせていない。深く介入し過ぎて死にたくなかったからだ。
(なまえ)
あなた
はあ.....
一人暮らしは退屈だ。
何故かと言われれば私が面倒臭がりだと言うのが大きいと思う。
そう、別に外に出られないだとかテレビを見られないだとかスマホを触れないだとかSNSを見られないだとか言った訳では無いのだ。きっと、誰かにチクるだなんて発想も浮かばない位には臆病である私、正義感も特に無い私を踏まえて此奴は大丈夫だろうと制限を緩めてくれたのだろう。実際何もする気はないし、したくも無い。
私がどれだけ怠惰で面倒臭がりかと言えば、仕方なく買い物に行く時を除いて外には出ないし、家の中で動かないし、自炊は1週間に1回するかしないかという程度だ。それでも料理が得意なのは、まあ、才能だろう。兄程の才能では無いが、私だって少し練習をすれば大抵のことは出来る様になるし。
にしても退屈だ。
動かな過ぎて最早部屋も汚れない。コンビニに昼ごはんを買いに行くのすら面倒臭い。んがーーーー。もう昼は抜いてしまおうか。どうせ朝も遅かったし。
(なまえ)
あなた
スマホ弄るか...テレビ見るか...否、1人だし歌っちゃうか。某筋肉にお願いする歌とか。
さて、何故私は何処に監視があるのか分からない様なマフィアの家で某筋肉にお願いする歌が歌えるのか?
説明しよう!
私はこの家で生活する様になってかれこれ6年程となる。詰まるところ、監視だとかを気にしていたら気が狂ってしまうからだ。もう何も考えず、流れに身を任せ空気を読み発言を慎む生活を送る事にした。本当に空気を読み発言を慎めているかは別として。
にしても。
(なまえ)
あなた
暇ぁ..........
某動画を見るサイトも某短い動画を見るサイトも某元青い鳥現アルファベットのサイトも某カメラのアイコンのサイトも見尽くしてしまった。
何なら遠い記憶で友達に勧められた気がするアニメも一気見した。某中身があんこのパンのヒーローのアニメも全て見た。
勉強なぞする訳が無い。
兄に教えて貰うだけで教え方上手過ぎて十分だし、別に勉強は好きじゃない。寧ろ嫌いだ。兄に教えて貰える時は別として。
そうだ。兄の仕事柄この家にも居そうな見えないお友達()に読み聞かせでもしてあげようか。
..........否、後が怖いから辞めておこう。御免なさいすみません調子乗りました勘弁してください見えないお友達様。
今のところ、特に何も危害は加えられていないが。
然し、まあ、私以外誰もいないはずなのに物が落ちるだとか、知らない間に物が移動しているだとか、背後に気配を感じるだとか、肩が重いだとか、そういうのはもう日常茶飯事な訳で。流石に怖いから、少し高いリンゴジュースを毎日供えている。それが功を奏したのか、先述した通り今のところ特に何も危害は加えられていない。
..........近くの公園で幼児に混じって遊んでこようかなぁ...否、不審者だと思われるの怖いからやめておこう。
(なまえ)
あなた
やる事ない.....
結局今日も、座り心地の良すぎる高そうなソファに寝そべってスマホを弄り1日を終えるのだ。
何だか、もう兄に会えない様な気がするのを無かったことにして、寂しさを押し込んで。

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