お皿を洗っていると、お兄ちゃんが声を掛けてきた。
返答に困る。
キモいと思うけれど、そのロリコンおじさんがお兄ちゃんの知り合いだったら死ぬ。よし、日本人らしくオブラートに包もう。
わざわざオブラートに包んだのに何で問い詰めて来るんだよ。まあ嘘をついたところでバレるだろうから正直に言っておく。
想像以上にキモかった。
何だろう。変態、犯罪者、変質者、ロリコン、犯罪者、そうだな、犯罪者だ。何だろう、ここまでキモいと最早それだけで犯罪と言うか、もう笑えないと言うか。
何かもうどうしようもないというか。
本当にセーフだ。現在絶賛13歳。一年前だったら精神的な問題で生命が絶たれていた。
悪口を言うのはあまり好きではないが、もうそのレベルではない。本能的な問題だ。どうしようもない。
あっぶね。今、「熱烈だね。」って言いそうになった。あらぬ誤解を生む言い方と言葉足らず、気を付けなければ。
私が幼かった頃と比べて、お兄ちゃんがこの家に泊まっていくことは減っていった。最近更に忙しそうだし、立場が上がったのだろうか。無理をしすぎなければいい...というのは無茶か。
でも、お兄ちゃんがいつも話してくれる織田作さんや安吾さんとやらが居るのだったら、それで良いだろう。
と、思っていた。
それから、お兄ちゃんは帰って来なくなった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。