第2話

蟹食べる。
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2024/06/09 05:16
蟹料理が完成し、部屋中が蟹と出汁の美味しそうな香りに包まれる。
我ながら良い出来だ。ここを解雇されて殺されなかったらジャンルごちゃ混ぜの料理屋さんでも営もうかな。
太宰治
出来たかな?
(なまえ)
あなた
お!今出来たよ!!
机の上に鍋敷きを敷き、取り皿、取り箸、蟹チャーハン、ちょっとした付け合わせなどを並べて、最後に鍋を運ぶ。
太宰治
頂きます。
(なまえ)
あなた
いただきます。
お兄ちゃんが鍋から食べる分を取り皿に移すのを待っているうちに付け合わせを食べる。流石にマフィアの高い立場の人より先に鍋を突くのは気が引けるから。しかし付け合わせもうまい。やはり生きていたら飲食店で働くか。
太宰治
美味しいね。
(なまえ)
あなた
良かった。
お兄ちゃんのことは好きだ。お兄ちゃんの目は怖いけれど、お兄ちゃんが拾ってくれなかったら、擂鉢街で利用されて、ポイされて、そういうのを繰り返している内に傷口から細菌が感染して死ぬのがオチだっただろう。最悪すぎる。
両親は死んでしまったとは言え、一度は普通の暖かな家庭で育った身だ。精神的な苦痛も大きい。
お兄ちゃんはきっとマフィアで、今まで沢山の人を殺して、沢山の未来を奪って来たのだろう。でも、私に未来をくれたのもまた事実。お兄ちゃんが多くにとっての悪であったとしても、私にとっては救世主なのだ。
例え私の目の前でお兄ちゃんが赤の他人を殺したとしても、私はお兄ちゃんを嫌いにならない。距離を置くのは、自分も殺されてしまうのではという恐怖から。
(なまえ)
あなた
おいひー。
太宰治
ふふ。
まあでも、こうやって美味しい蟹を食べられているからこれで良いのだ。
他人のことなんて一々気にしていたら、擂鉢街でもマフィアと一緒にも生活できない。自分の命の事だけ考えていれば、私が死ぬ確率は減る。
若干、いや結構倫理観がズレている自覚はある。しかし、こっちの方が生きやすいと思うのだ。
そんなことを考えながら2人でご飯を食べ進める。結局少し残ってしまった。
明日雑炊にでもして食べようかな。お兄ちゃんは多分居ないし。蟹チャーハンを蟹鍋にぶち込んだら不味いかな。ワンチャン美味しいよね、やってみよう。
太宰治
ご馳走様。
(なまえ)
あなた
ごちそうさまでした。

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