第20話

18話 仲直り
711
2024/03/09 09:00
ゆあん
ゆあん
はぁ…
ゆあん
ゆあん
もういい加減嫌なんだけど

なおきり
なおきり
まぁまぁ…
なおきり
なおきり
仕方ないっちゃ仕方ないですよ…

ゆあんとなおきりは、
突然姿を消したじゃぱぱとうりの捜索をしていた。
目を覚ますと2人のメンバーが消えていた。
心配にならないはずがない。

あの2人なら大丈夫だろうと思いつつ、
念の為捜索をすることになった。

とはいえ、
森の中を探すのは大量の体力を消耗するわけで。

2人の足はもう限界だった。
かれこれ2時間ほど、森の中をさ迷っている。

目的はあれども、疲労には敵わない。
なおきり
なおきり
筋トレしなきゃな〜…

その場を少しでも明るく保とうと気を使った発言。
 
しかし内心では、責任を感じていた。
 
自分がわがままを言ったせいで
メンバーの1人が爆発に巻き込まれたかもしれない。
行方不明になったのはきっと自分のせいだ。
あんなことを言わなければよかった。
姿を消すべき人間はたっつんではない。
船番を任せるんじゃなかった。
最後まで自分でやり遂げればよかった。

たくさんの後悔が浮かんでくる。
もし本当に命を落としていたらと、
不安で仕方がなかった。



なおきり
なおきり
……

ゆあん
ゆあん
まだこっち行ってないよな?
なおきり
なおきり
……ぁ
なおきり
なおきり
うん…
ゆあん
ゆあん
よし
ゆあん
ゆあん
こっち行っていなかったら
1回戻ろーぜ
 
じゃぱぱ
じゃぱぱ
…ただいま〜…
うり
うり
ただいま〜

砂浜で思う存分涙を流したじゃぱぱは、
目を少し腫らしたまま洞穴へと帰還した。

できるだけ平然を装って。
 
リーダーの弱い部分を見せないようにして。
 

のあ
のあ
あ!
のあ
のあ
じゃぱぱさん!!!
のあ
のあ
うりさん!!!
 
案の定、突然現れた2人に
驚きをかくせていないメンバーが3名。

その中にゆあんとなおきりの姿はなかった。
 

もふ
もふ
心配したんだからね!?
もふ
もふ
どこ行ってたの!?

もふが声をはりあげながら、2人を問い詰める。
たっつんのこともあったため、
相当心配していたのだろう。
 
じゃぱぱ
じゃぱぱ
ぁ〜…
じゃぱぱ
じゃぱぱ
いや…
じゃぱぱ
じゃぱぱ
ごめんごめん!
 
始めこそ挙動不審になってしまったものの、
その後は普段通りに言葉を紡いだ。
じゃぱぱ
じゃぱぱ
ちょっと目覚めちゃったから
じゃぱぱ
じゃぱぱ
海見てたんだよね〜

明るい笑顔を見て、うりを除くメンバーは
『呆れた』という表情をつくった。
 
のあ
のあ
そういうことは普通言うものなの!!!
のあ
のあ
こっちの身にもなってよ!!!
もふ
もふ
はぁ…
もふ
もふ
心配して損した…
シヴァ
シヴァ
起きたときマジで焦ったんだからな…!?
シヴァ
シヴァ
言ってから行けよ!!!

のあ
のあ
心配すぎてゆあんくんとなおきりさんに
探しに行ってもらっちゃったよ!
のあ
のあ
多分今頃
森彷徨ってるよ…

じゃぱぱ
じゃぱぱ
うぇ!?
じゃぱぱ
じゃぱぱ
マジで!?
じゃぱぱ
じゃぱぱ
なんてことしてくれんだ!!!
 
もふ
もふ
うっせぇ!
もふ
もふ
そっちが心配かけるからだろ!!!
 
狭い洞穴に、明るい笑顔が広がった。
多くのメンバーが欠けていてもこの明るさ。

12人が揃っているカラフルピーチは、
どれだけ元気なのだろうか。
 

うり
うり
……
声を上げて笑うじゃぱぱに、
うりは斜め後ろから心配の眼差しを向けていた。
 
元気に振舞っている。
気づかれない。
リーダーのポーカーフェイスは
尋常じゃないのだから。

しかし事実がある。
先程まで泣いていたという事実が。

現実を受け止められず、
自分が背負うべき責任に耐えられず、
苦しんでいたという事実が。


それをうりは知ってしまった。

知ってしまった身としては、
じゃぱぱの笑顔が引きつっているようにしか
見えなかった。
 





ガサガサガサ…

突然背後から、
草をかき分けるような音が聞こえた。

その瞬間その場にいたメンバーは肩を震わせ、
音がした箇所をいっせいに見つめた。

動物か。
メンバーか。

のあは息を飲み、
シヴァは肉食動物に備えて腰の剣に手をかけた。
 





るな
るな
ッた〜!










草むらから現れたのは、
どぬくたちについていったはずのるなだった。
 

じゃぱぱ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
じゃぱぱ
るな!?

もふ
もふ
え!?

うり
うり
なんで!?

るな
るな
あ、あ〜!!!!!!
るな
るな
みんないた〜!!!


るなは驚くメンバーの顔を見て、
喜びの声を上げた。

るな
るな
ね!ね!
るな
るな
みんな!!!
るな
るな
いたよ!!!
るな
るな
じゃぱぱさんたち!!!
るな
るな
いたよ!!!

るなは自分の後ろに向かって笑顔で言った。

シヴァ
シヴァ
ぇ…
 
そしてそこから現れたのは、
もう一方のカラフルピーチの欠片だった。

じゃぱぱ
じゃぱぱ
え!?
じゃぱぱ
じゃぱぱ
えとさん!?
じゃぱぱ
じゃぱぱ
どぬ!?
じゃぱぱ
じゃぱぱ
ヒロくん!?

3人は気まずそうな顔をして、
るなの後ろに立っている。
 
のあ
のあ
なんで…


本当に突然のことだった。

たっつんのことで揉めて、その後はお互いに
行方なんて知らなかったはずなのに、
彼らはじゃぱぱたちの前に現れた。
 


るな
るな
めちゃくちゃ探したんですから!!!
るなが目に涙を浮かべながら、のあに抱きついた。
 
のあ
のあ
るなさん…
のあ
のあ
…なんで…?
のあ
のあ
みんなも……

 








ヒロ
ヒロ
……ごめん

洞穴に響く、謝罪の言葉。
 
己の言動をすべて後悔し、やり直したいという想い。
 


それを伝えるには十分だった。
 



どぬく
どぬく
……俺らちゃんと考えたよ
えと
えと
……確かにたっつんのことは心配だった
えと
えと
…けど
えと
えと
じゃっぴたちだって
心配じゃないはずないもん…

ヒロ
ヒロ
…俺らがしちゃったこと、
全部後悔してる
 
どぬく
どぬく
…カラフルピーチを2つに分けちゃって
ごめんなさい…







カラフルピーチが12人で仲良くやっている理由。

これがその1つ。
 



滅多なことがない限り喧嘩はしない。
そして喧嘩をした時は、すぐに謝る。

これまでにも何度か意見の違いで
大きな言い合いになってしまったことはあった。
しかしその度にお互い反省し、謝罪し、
元のグループに戻っていた。



やはり12人の絆は、誰にも引き裂けないのだろう。
もちろん彼ら12人自身でも。



のあ
のあ
……よかった…

沈黙を破ったのは、抱きついてきたるなを
ギュッと抱き締め返したのあだった。
のあ
のあ
……ッホントに…
のあ
のあ
よかった…ッ!
 
もしこのまま
カラフルピーチが元に戻らなかったら。
その『もしも』が頭に出てこなかったはずがない。
 
12人でカラフルピーチ。
いつしかメンバー全員が
口癖のように言うようになった言葉。

はじめはリーダーのじゃぱぱが
言い出したことだった。
 
「カラフルピーチはこれ以上でも
これ以下でもない!
12人で1つのグループだ!!!」

何度も戦闘や冒険を繰り返していくうちに、
じゃぱぱの言葉が理解できるようになったメンバー。


そして今、その言葉があったからこそ
亀裂が入っていたカラフルピーチが元に戻ったのだ。
 


えと
えと
ッ…
えと
えと
の…あさん…ッ
耐えられなくなったえとは、
るなと一緒になってのあに抱きついた。

シヴァ
シヴァ
ッ心配したんだからな!!!
もふ
もふ
ばーか!!!

シヴァともふは、
軽い拳でどぬくとヒロの頭を小突いた。
 
その様子を見ていたじゃぱぱとうりは、
戻りつつある日常に笑みをこぼしていた。




うり
うり
よかったな
じゃぱぱ
じゃぱぱ
……うんッ!



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