第3話

2話
126
2026/05/24 05:14 更新




イチゴ大福の力でどうにか人間の理性を保った時雨は、


亜白ミナの執務室のソファの隅――背もたれと壁のわずかな隙間に、
猫のように丸くなって収まっていた。




もぐもぐと大福を咀嚼しながら、ミナが書類に目を通す姿をじっと見つめている。
亜白 ミナ
時雨、美味しいか?


羽乃 時雨
うん、ミナがくれたから美味しい





亜白 ミナ
それは良かった。
亜白 ミナ
だが、ちゃんと保科の言うことも聞くんだぞ。
亜白 ミナ
……保科、そんなところで立っていないで座ったらどうだ






ミナが苦笑しながら視線を向けた先では、

副隊長の保科宗四郎が、自分の席を奪われて部屋の隅に直立不動で佇んでいた。






保科 宗四郎
いえ、僕がそこに近づいたら、またあの娘に『しつこい、消えろ』って呪われそうですし。
保科 宗四郎
大福一つで懐柔できたと思うたら大間違いや



羽乃 時雨
そーくんは声がおっきいミナ、静かにさせて





保科 宗四郎
誰がうるさいや! ほんま態度がウラとオモテで激しすぎんねん……










その時だった。

けたたましいサイレンの音が、静かな執務室に鳴り響いた。










小此木 このみ
緊急警報!
エリア22に本獣クラスの怪獣が発生!
周辺の隊員は直ちに迎撃態勢に移ってください!







保科の目が一瞬で鋭い戦士のそれに変わる。


ミナも即座に立ち上がり、愛用の巨大重砲へと手を伸ばした。






保科 宗四郎
チッ、全員出動準備!



インカムに手を当て、全隊員に出動をかける。




亜白 ミナ
時雨、行くぞ。お前の初陣だ。
解放戦力94%の実力、見せてもらう








ミナの真剣な眼差しに、時雨は渋々といった様子で「はーい……」と立ち上がった。








































エリア22。


そこは高層ビルが立ち並ぶ市街地だった。



現れたのは、全身が強固な外殻に覆われた、推定フォルティチュード7.8の本獣。




防衛隊の一般隊員たちが放つ銃弾をことごとく弾き返し、街を破壊していく。








保科 宗四郎
時雨、まずはスーツの出力を上げるんや! 銃構え!




保科が刀を抜きながら叫ぶが、


時雨は防衛隊の基本兵装であるアサルトライフルを、面倒くさそうに引きずって歩いていた。







羽乃 時雨
重い、銃、嫌い。音、うるさい



保科 宗四郎
サボるな!敵は目の前やぞ!










怪獣が時雨の存在に気づき、巨大な質量を持つ尾を激しく振り下ろした。




ビルのコンクリートを粉砕する一撃。



まともに喰らえば、防衛隊のスーツを着ていようが無事では済まない。









保科 宗四郎
時雨、避けッッ!!!









保科の悲鳴のような警告。



しかし、時雨は一歩も動かなかった。

ただ、眠そうな目で怪獣を見つめ、細い指先を小さくパチン、と鳴らす。








羽乃 時雨
 狭間呪法――虚空の壁


ドンッ!!!


と凄まじい衝撃音が響いた。






だが、破壊されたのは怪獣の尾の方だった。





時雨の目の前、わずか数センチの空間で、怪獣の攻撃が『完全に静止』し、自重の衝撃で勝手に砕け散ったのだ。











保科 宗四郎
な……なんやそれ!? スーツのシールドやない……!?






保科が目を見開く。






時雨の術式『狭間呪法』。


それは、空間と空間の「わずかな隙間」を無限に引き延ばす能力。






怪獣の尾は、時雨の手前にある『1ミリの隙間』の中に作られた、
果てしない距離の空間を永遠に進み続けている状態なのだ。





つまり、時雨には絶対に届かない。

五条家の無下限呪術を、時雨流に解釈した絶対防御。








羽乃 時雨
…痛いの嫌い。だから、近づかないで


時雨はふぅ、とため息をつくと、引きずっていたライフルを完全に地面に放り投げた。





保科 宗四郎
おい時雨!?武器を捨てんな!



羽乃 時雨
あんなのいらない。ミナが待ってるし、もう終わらせるよ







時雨の瞳に、ウラの世界で「特級」と呼ばれた禍々しい呪力が灯る。





解放戦力94%のスーツが、時雨の規格外の呪力に耐えかねて、バチバチと警告音を鳴らし始めた。










羽乃 時雨
狭間呪法、隙間風



時雨が空間を『掴む』ように手を握り、それを横にスッと引き裂いた。



次の瞬間、怪獣の巨大な身体の真ん中に、縦一閃の「空間の裂け目」が出現する。










物質と物質の隙間を強制的に広げ、引き裂く一撃。



怪獣
ギャオォォォォン!




怪獣の強固な外殻など何の意味もなさなかった。




フォルティチュード7.8の巨体が、

まるで紙のように綺麗に真っ二つに両断され、中心にある核(コア)ごと一瞬で粉砕された。




ドサァッ……と、静まり返る戦場に怪獣の肉塊が落ちる。












羽乃 時雨
…よし、終わり。帰って寝る


時雨は振り返りもせず、マイペースに基地の方へと歩き出した。



残された保科は、刀を構えたまま完全に固まっていた。






保科 宗四郎
 ……なんや、あのデタラメな強さ。
防衛隊の武器を一切使わんと、空間ごと怪獣を切り裂きよった……。
これが、ウラの世界の『特級』の力か
















五条 悟
あっれ〜?


保科 宗四郎
!?






保科 宗四郎
誰や、逃げ遅れか?

五条 悟
あーいや
五条 悟
時雨は?

保科 宗四郎
時雨?時雨って、羽乃時雨か?
五条 悟
それ以外いなくな〜い?
保科 宗四郎
それなら帰ったで
保科 宗四郎
てか、あんた誰や



五条 悟
最強イケメンの五条悟でーっす!


保科 宗四郎
…うちの時雨に何か?






五条 悟
うちの時雨、、?
五条 悟
え、君何?時雨の何??
五条 悟
僕の時雨に何したの??





保科 宗四郎
……五条..五条
保科 宗四郎
あ、ああー!!
保科 宗四郎
あんた術師の五条悟か!




五条 悟
え、何何僕のこと知ってんの?
五条 悟
やっぱ僕の美貌は裏世界だけじゃ…
保科 宗四郎
いや〜、羽乃家の本家の当主さんやろ?
保科 宗四郎
時雨から聞いとりますわ



    “ 顔はイケメンでも中身がどうしようもないクズ “

保科 宗四郎
ですってね







五条 悟
えー
五条 悟
てか、もういいでしょ?時雨呼んでよ


保科 宗四郎
あーもう帰ったんで、本部きます?
五条 悟
まじ?




保科 宗四郎
まじ

























保科 宗四郎
てことで五条さん連れてきたから出てこい時雨ー!




羽乃 時雨
イヤダッッッ‼︎



五条 悟
あー、、もういいよ。
君は退いといて



五条 悟
時雨入るからねー





羽乃 時雨
…ドチラサマデショウ
五条 悟
流石に無理があるって
羽乃 時雨
はぁ、、で?何
五条 悟
姉妹校交流会、今年こそは強制参加ね⭐︎
羽乃 時雨
…いやだ!!絶対嫌!
羽乃 時雨
東堂も真衣も強いじゃん!
羽乃 時雨
嫌だよ!!
五条 悟
えーそんなこと言われてもさぁ





五条 悟
もうみんなに出るって言っちゃた!(*゚▽゚)ノ
羽乃 時雨
何やってんだクズが!!







































羽乃 時雨
嗚呼、めんどくさ






保科 宗四郎
…騒がしいキャラ崩壊やったな

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