〜NO side〜
バタッ ガラガラガラ
あなたの体は メイドさんを押し出した勢いで
前に行ってた
なのに、
安心してしまう ばか と言う声が後ろから聞こえて、
がっちりとした体に包まれて 後ろに倒れていく
目の前には 天井がゴロゴロと崩れてきた
プレゼントしたばっかりの 白いワンピースが
黒く焦げている様子が あなたの勇気を物語っている
恭平は 見たことがないくらいの
優しい顔をしていた
煙が混じる空気を吸う事が
やっとのあなたを抱き上げると
火の壁によって塞がれた玄関を後に新しい出口を探した
ほとんど意識が無くなっているあなたを
軽々と抱え直すと、やっとのことで見つけた出口から
外へ脱出した
目を瞑って 聞こえないのが分かっていても、
恭平はあなたに声をかけた
恭平は 自分が柔らかい表情になっていることに
気が付かなかった
あなたは また別の別荘に着くと
医者から措置を受けぐっすりと眠った
その日は目を覚まさなかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!