とすん、と揺れる体、前に暖かい感覚
膝に当てられた体温…これは?
優しい撫でるような声に
断る余地もなく甘えてしまう
自分が、情けなく見えてしまって
その言葉に、時が止まったような反動を受けた
優しい、優しいおそ松くん
なんでこんなに私に優しくしてくれるんだろう
気付いた時にはぼろぼろと大粒の涙を
流してしまっていた
1度下ろしてくれるおそ松くん
泣きじゃくる私を見て、一呼吸置いて。
しゅる、と衣服が重なり音を立てる
暖かな体温に目を開いて
目の前の綺麗な赤に、思わず嗚咽が止まった
おそ松くんは、ずるい
後先短い私に、こんなに優しい居場所をくれて
向き合って涙を指の腹で
不器用に拭いてくれるところも
少し気恥しそうに手を差し伸べてくれるところも
優しく握った時のほんのりした顔の紅さも
嗚呼、私
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!