第11話

星撫でる夜の匂い
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2023/01/19 04:40
あなた
ん…うぅ…?
とすん、と揺れる体、前に暖かい感覚
膝に当てられた体温…これは?
おそ松
おそ松
あ、起きた?
あなた
え、あっ、おそ松くん
もう大丈夫なので、下ろして下さいっ
おそ松
おそ松
だーめ、まだ少し頭回ってないでしょ
あなた
で、でも…重いだろうし…
おそ松
おそ松
重くないよ、大丈夫
優しい撫でるような声に
断る余地もなく甘えてしまう
自分が、情けなく見えてしまって
あなた
あ、あの、チョロ松さん達は…
おそ松
おそ松
先帰ったよ
その後一松も飲みすぎちゃって
カラ松がおぶって帰ったのに
十四松が着いてってた。後の奴らは
コンビニに水とか買いに行ってたし
おそ松
おそ松
あんま気にすんなよ?
あなたちゃんは背負いすぎ!
あなた
でっ、でも…
おそ松
おそ松
俺たち、もう家族みたいなもんじゃん
その言葉に、時が止まったような反動を受けた
優しい、優しいおそ松くん
なんでこんなに私に優しくしてくれるんだろう
気付いた時にはぼろぼろと大粒の涙を
流してしまっていた
あなた
うっ…ふぐっ…うぇ…
おそ松
おそ松
ちょ、あなたちゃん!?
どしたの!
1度下ろしてくれるおそ松くん
泣きじゃくる私を見て、一呼吸置いて。
おそ松
おそ松
…あなた
しゅる、と衣服が重なり音を立てる
暖かな体温に目を開いて
目の前の綺麗な赤に、思わず嗚咽が止まった
おそ松
おそ松
よーしよし、辛かったな
大丈夫、大丈夫
おそ松くんは、ずるい
後先短い私に、こんなに優しい居場所をくれて
あなた
…う、っ、ひぐっ
おそ松
おそ松
落ち着いたら帰ろうぜ?な?
向き合って涙を指の腹で
不器用に拭いてくれるところも
少し気恥しそうに手を差し伸べてくれるところも
優しく握った時のほんのりした顔の紅さも
嗚呼、私

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