SEVENTEEN PROJECT最終日。僕らは真っ暗なホールに集められた。何が起こるか分からず不安だった。メンバーも不安そうにキョロキョロとしていた。
横一列に並ばされ、目の前には黒のステージ幕。
段々と幕が上がり始めた。するとその先には各メンバーの家族がいた。僕には親がいないからその中から知った顔を探そうとは思わなかった。メンバー達が家族との感動の再会に浸っている中、1人で俯いていると声が聞こえた。
聞き馴染みのある声が聞こえ、そちらの方を見ると幼なじみが立っていた。
わざわざ自分の練習を抜け出して駆けつけてくれたのだろうか。練習生の間は練習が全てなのに来てくれた。その事がとてつもなく嬉しくて涙がこぼれた。
しばらくお互いに抱きしめ合いながらその感動に浸っていると慧がポケットの中から指輪を取りだした。何事かと思い他のメンバーを見ると両親から指輪をつけてもらっていた。
そう言われ素直に左手を差し出した。
JEONGHAN side
真っ黒な幕が上がり、両親と感動の再会をしているとふとあなたのことが脳裏に過った。あなたは家族がいない。焦ったようにあなたを探すといつも宿舎まで迎えに来る“幼なじみ”が立っていた。
2人は抱きしめあっていてあなたの目からは涙が零れていた。
考えることをやめ、両親と話していると母から指輪を渡された。右手の小指に綺麗にはめてもらったそれはデビューが決まった時に代表から貰った指輪だった。
どれだけ、デビューが出来るとこと両親と会えたことの両方が嬉しくて目から涙が零れても気になることが1つあった。それはあなただ。できるだけ考えないようにしていたがやはり気になる。さりげなくあなたの方を見ると幼なじみから指輪を貰っていた。
やはりあいつにつけてもらうのだろうか。なんて考えているとあなたが左手を出していることに気がついた。
その姿を横目でマジマジと見ているが一向に左手から右手に変えようとしない。その幼なじみも指摘しようとしない。不思議に思いながら見ていると、その幼なじみがあなたの左手を掴んで薬指にはめようとしていた。
遠くからでも聞こえたのはジュニの声だった。幼なじみの腕を掴み牽制している。みんなあなたの様子を伺っていたらしい。それを見ていたメンバーは少し怒っていた。こんなにめでたい日に僕を含めメンバーを怒らせるだなんて。
ボソボソと喋るから今の俺とウォヌの距離では普段聞こえないはずの言葉もその日はハッキリとまではいかないが聞き取ることが出来た。
耳を済ませていると衝撃の一言が聞こえた。“知っている”その幼なじみは俺たちを試すような笑みを浮かべていた。分かっていて指輪をはめようとしたということはこいつもライバルということだ。そしてチームに自分のライバルが何人いるかをこいつは試したんだ。瞬間的にそう思った。
ウォヌの聞き捨てならない言葉に耐えられなくなり割ってはいる。
ウォヌはカメラがあることも忘れて夢中で怒っていたから俺が入った事で場をやんわりと収めることが出来た。別にあの入り方ではなくても収めることは出来ただろうが考えより先に言葉が出ていた。
その後SEVENTEEN PROJECT最終回の動画は配信され、心配になってあなたの指輪事件があったであろう場面を見てみると動画にはギリギリ写っていなかったから安心した。
そして指輪の授賞式が終わり、宿舎に戻るとあなたへの説教が始まったのは言わずもがな。
1番気になる質問をハンソラがスマホを触りながら興味なさげに聞いた。
どうやら遊びだと捉えているらしい。それはそうだ一般男性の恋愛対象は男ではなく女。男が男の薬指に指輪をはめる行為は冗談と捉える以外方法がない。
この日から毎朝シュアと慧で繰り広げられていた玄関でのバチバチは段々あなた以外のメンバーと慧で繰り広げられていった。






















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。