DAIKI side
練習終わりの深夜
みんな疲れていて、移動車の中は静かだった
僕も疲れてたから窓にもたれて目を閉じてた
その時、隣から服の裾を引っ張られた
隣を見ると佳暉が寝ていた
いや、寝ぼけてた
指先だけ僕のパーカーを掴んでる
返事がないからそっと指を外そうとしたらぎゅって握られた
すると佳暉が小さく眉を寄せた
完全な寝言
本人は絶対覚えてない
でも、なぜか今の一言で、ドキッとした
翌朝
案の定、佳暉はなんも覚えてなかった
言えるはずがない
それから数日
なぜかこっちの方が意識してしまう
佳暉は相変わらずで、隣に来たり、肩にもたれかかったり、深夜でも平気で「暇ー」って言ってくる
全部今までと同じ
でも僕だけが違って
ずっとあの日の
“ここにおって” が頭の中にある
ある日、佳暉から電話がかかってきた
佳暉は電話の向こうで楽しく笑ってるけど、
こっちは頭抱えるわ
ほんと、心臓に悪い…
そんなある日
佳暉は他のメンバーと楽しそうに笑っていた
それだけなのに
こっちから見たらなんも面白くなくて自分に呆れる
帰り道、佳暉と2人きりになった
答えるのが難しかった
でも、ずっとこのままなのは嫌だった
佳暉が目を丸くした
あーあ、言わなかったらよかった
なんも言えなかった
翌日
練習の休憩中
佳暉がいつになく真面目な顔で近づいてきた
思考が止まった
それって……
なんども諦めようとしたし、なんども期待した
でも、その気持ちから毎回逃げてきた
今、佳暉は自分の気持ちと向き合って正直に伝えてくれた
だから
正直に言った
特に、付き合ったからといって何かが大きく変わるわけではなく、きっと明日も電話して佳暉は寝落ちする
でも、1つ変わったのは寝ぼけて服を掴まれてももう離す必要はないってこと
⭐️100 ありがとうございます💟












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。