春の風が吹き始めた今日この頃。
学校へ続く道の桜の木も、少しずつ花を咲かせ始めた。
歩いていると、目の前には制服を着たカップルがいた。男子生徒の方は、私が何度も何度も目で追っていた人。
忘れさせてもくれなくて。
むしろ忘れたくなんかないって。
身体でも頭でもない心が言うのです、
だからもう、困らせてよ
苦しくさせていてよ
そんなふうに優しくしといてよ……
報われないままのこの恋。
これからも私はきっと何度諦めようとしても、諦められないだろう。でも、一生に一度の初恋だ。
聡ちゃんは今日も、なんにも知らないくせして、
なんて聞いてくるだろう。
他でもない君でこんな始末になってるとも知らずに。
でも、そんなこと言えるわけもない私はいつもと同じ顔で言うんだ、
長い冬の名残を帯び、少しまだ乾いた風はあっという間に私の背中を通り過ぎていった。
空を見上げ、また歩き出す。果てを知らないそれには、羊雲が広がっている。
これからも私はきっと何度諦めようとしても、諦められないだろう。でも、一生に一度の初恋だ。
2人の恋の話の『名脇役』としてでも、聡ちゃんの目に私が映っていたのなら、それで良かったのかもしれない。
そんなことばっかを考えていること
君が知るのはいつになるかな













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。