
ナチスside
俺は今日からこの軍に入る。
緊張と心配で胸がいっぱい。
コンコンコン
ガチャ
俺が入ると共に、みんながヒソヒソと小さな声で話し始めた。
別にどうでもいいのだが。
そんな中、俺に真剣な顔で目を向けている人がいた。
誰だろう。
でも明らかに、みんなから尊敬されていそうな人だった。
軍に入ったばかりの俺とは違って。
なにか希望を感じるような目。
美しかった。
mobに話しかけられ、俺は正気に戻る。
嘘の拍手が部屋中に響く。
どうせ嘘なら、拍手なんてしなくてもいいのに。
そんな中、彼女は
真剣な眼差しで、頷いていた。
俺は彼女を見ると、ドクドクと胸が高鳴る。
これが
軍の仲間に情を持つなんて…
いつ居なくなってもおかしくない仲間に情けを持つなんて…
おかしい。
今すぐ、
いますぐ。
この気持ちを消したい。
数ヶ月後
あの気持ちを消したいと思った頃から数ヶ月がたった。
この軍には、慣れてきたし、何より、
先輩は優しい。
安心している自分がいる。
あの頃の自分が嘘みたいに。
考え事を呑気にしていたらいつの間にか先輩の声掛けを無視してみたいだ…
先輩がニヤニヤしながら話しかける。
俺はなにか忘れている気がする。
そうだ。自分は先輩と訓練をしていたんだ。
受身を取ろうとしたが、
スチャ
少し遅れてしまい、やられてしまった。
ずいぶん遠くの壁にぶつかってしまった。
先輩はしまった、という顔で俺に近ずき、
スッ…
倒れそうな俺を先輩の腕で俺をぐっと引き寄せ、支えてる状況になってしまった。
思った気持ちをほんの少し声に出しただけ。
誰にも聞こえないように
大笑いしていた先輩にそんなちっぽけな願望は届かなかった。
本当に先輩は
俺ばっか守られて…
先輩は
というように言っていたけれど、
いつか先輩が、
どんなに自分が苦しい状況でも、他人を優先して、
いつか。
いつか。
戦争当日。
ここで多くの命を落とすのは当たり前だ。
とても辛いこと。
無実な命を殺すのはとても悲しい。
いつか、無くなるといいのに。
これで最後になりますように。
そんな願望を誰も聞こえないところで小さくつぶやいた。
先輩は俺に笑って欲しいのだろうか。
特別の変顔を見せた。
それはとっても可愛いものだった。
緊張してかたくなっていた肩も、少し緩んだかもしれない。
"戦争が始まるぞ。配置に着け。"
戦争開始後、
俺はミスを炸裂した。
俺のミスのせいで、亡くなる人もたくさんいた。
落ち込んでいたその時。
ズドーン!!
そんな大きな音が俺の耳に大きく響いた。
俺の名前を呼んだ先輩。
先輩はきずでいっぱいだった。
と震えた声でそう言った。
ズドン。ズドンとあちこちに爆発音がひびく。
その度に多くの人々がなくなっていくのがわかる。
俺はあまりにもの恐怖で先輩の軍服の袖をつかんだ。
先輩の一つ一つの声が重く感じる。
先輩の声はこんなにも美しい声だったんだと改めて実感した。
喉が痛い。泣きそうな自分をグッとこらえる。
先輩がどうしても行かなきゃ行けないことを知り、さっきまで抑えていた涙が次から次へと溢れ出てくる。
先輩は俺の方に振り向き、最後にこういった。
先輩。ずるいよ。いつも先輩ばかり。
いつも俺ばかり守られて。
俺はいつもミスばっかりして、
そのミスを先輩がフォローして。
先輩ばかり。でも、
先輩。俺も
生憎なことに、戦争は先輩が居なくなって6日後に終戦となった。
今でも思う。もしかしたら。もしかしたら
あのときのような笑顔で俺の名前を呼んで、帰ってきてくれるんじゃないかと。
でも
何年経っても、先輩は帰ってこなかった。
先輩。俺、強くなりましたよ。
先輩に勝てるくらい。
先輩。今俺はこの国の総統をやってます。
国民はとても楽しそうです。
先輩。俺、戦争することになりました。
相手は連合国だそうです。
先輩。
せんぱい。
ちなみに、題名は
戦
と最後のセリフ
逝くさ
で、かけてます!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。