とはいえ、私はこういうのには無頓着だ。
どんな花がお供えにいいのかなんてわからない。
調べようかとも思ったけど、それは「自分らしく」ない気がした。
バラは派手すぎるし、何か愛してる的なイメージある(?)
ユリは何か死に連想してるとはいえ、縁起悪い気がする。
パンジーはそもそも墓に持っていくものなのか?w
しかもこれに関してはバケットの中に入ってるし。
ルピナスを贈ってくれた結にお返しの花…って考えると、
私もルピナスくらい、いやルピナス以上に可愛い花を選びたいし、
結が喜んでくれそうな花にしたいと思う。
そこにあった花は、少しルピナスに似ていた。
ぶどうのような房状の花を咲かせている。
色が同じだからかもしれないが、ルピナスに似ているように感じる。
少なくとも、私がこの花屋さんで見た中で一番似ているだろう。
表現の仕方がいまいちだな…と思いつつ、レジへ向かう。
花屋さんとの会話に花を咲かせた後、
私は会計を済ませた。
結構可愛らしい名前。
花ってすごいな、人の心をここまで穏やかにさせられるんだ。
しばらく歩いて、やっと辿り着いた結の墓がある墓地。
結の墓参りどころか、墓地に来ること自体も初めてだ。
ゆっくり歩いて結の墓を探す。
色々な人の墓があって、そこには私とは違う花の
ブーケが置かれていた。
私が持ってきた可愛らしい色の花とは違って、少し渋い色の
色とりどりの花。多くがそうだった。
むしろ開き直った。
それから数分経って、やっと結の墓を見つけた。
結の墓に添えられている花は何もない。
孤児院の…いや、患者の墓だし、そこまではしてくれないか。
そっと先程買ったムスカリを添える。
そして、私は深呼吸をして、結の墓と…ー
いや、結と向き合った。
私がそう言った途端、ふわっと風が吹いた。
ここらへんは住宅が少ないから、桜が咲いているようだ。
花びらが私の前をひらひらと舞っているのを眺めて…気づいた。
私が向いた方向には、咲くはずのないルピナス。
普通こんな墓地に野生で咲くはずがない。
そこに結がいるみたいで、緊張がふっと解けた。
あの日から、モノクロの世界で生きていた私。
…いや、モノクロの世界で生きてたわけじゃない。
世界は、元々こんなにも美しかった。
私自身が、この美しい世界をモノクロに変えていたんだ。
…それを私に教えてくれたのは、生きることを諦めなくていいと教えてくれたのは、
他でもない、結だった。
私の世界に色鮮やかな花を咲かせてくれた。
誰かのために、いつか私が光になれたら。
結と同じように、誰かを支えることができたら。
そう思う。
…ちゃんと結に伝わっただろうか…?
どこからか、結の声が聞こえた気がした。
幸せの先は「闇」じゃない。
私が…いや、私と幽霊が見つけた幸せの先は…
明るい未来だ。
ルピナス END
追記 花言葉
ルピナス…幸せを運ぶ
ムスカリ…明るい未来、通じ合う心
ご愛読、ありがとうございました。
本編はこれで以上となります。
あとがきは、この後のチャプターに書くつもりです。
裏話や考察のヒントなど、たくさん書くつもりです。
それでは、この話を読んでくれた方の幸せと明るい未来を願って…ー。
2022/08/27 🎸心桜🌸より
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。