第8話

reincarnation 4
1,324
2023/11/08 13:55 更新
僕が悪魔の生まれ変わりと知ってから、グクには会いに行かなかった。途中で逃げ出して置いていった罪悪感もあるし、それにどういう顔で会ったらいいか分からない。また泣きそうなグクの顔を見たらと思うと、あの場に居るのが辛くなる。このまま時間だけ過ぎて、忘れられたらいいのに。そう、思ってもないことを1日中考えている自分がいる。たまにチラつくグクの顔が鬱陶しいが、愛おしいとも思ってしまう。この感情は前世からくるものなのか?それとも気のせいなのかもしれない。どちらにしろ、僕はずっとグクのことを考えるほどに頭の中がいっぱいになっていた。






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は?それ、ほんと?
頭イカれた奴とかじゃないの?
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う、うん....多分違うかと....
電話越しに息を荒らげて話すジミナは、心配で仕方なさそうにしている実家のお母さんに似ている。
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そいつテヒョンの気を引くために言ってんじゃないの?
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うーん、そんな風には見えなかったけど....それに、、、泣いてたし。
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プロ並みに演技力半端ない人なんていっぱいいるよ?そいつほんとに大丈夫?
ジミナの発言に少しムッとくる。
_____そこまで言わなくてもいいじゃんか
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もう、いいよ。
ジミナに話した僕がアホみたいだ。
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あぁ、ごめんごめんっ....
ちゃんと話聞くからさぁ、、
改めてグクのことを話すと、ジミナはうーんと唸り声をあげた。
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なんだろ、、、すごいファンタジーで俺には理解できてないとこもあるけど.....グクさんだっけ?俺はすごく寂しいと思うよ。
ジミナは間を置いてから続けた。
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愛した人を殺した罪悪感に蝕まれて、ずっと1人で暮らしてたなんて....俺には想像もできない。それで、いきなり愛した人が現れてみ?よく、耐えたなって思うよ。俺だったらギャン泣きだな。
僕には想像もつかなかった。グクがどれだけの年月、僕を思ってあの広い城で過ごしてきたのか。愛する人を殺めた罪悪感と、自分に対する憎悪に縛られ、死ぬことすら許されない。拷問よりも辛く、残酷な罰なのかもしれない。
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........僕どうすればいいんだろ、、。
そう呟くとジミナはため息に近い声を出した。
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はぁぁ?そんなん決まってるだろ?会いに行くんだよ。会いに行って、抱きしめればハッピーエンドじゃん。
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でも.....僕行っていいのかな。
逃げて来ちゃったし....
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それは、分からん。でも、会いに行かないよりかは、会いに行った方がグクさんも喜ぶと思うよ。
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🐻
、、、ぼく、行くよ。
行って、思いっきり抱きしめてくる。
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🐥
おう、ハッピーエンド期待しとくわ
電話を切ってジミナに心の中でお礼を言った後、走って家を飛び出した。走るのはあまり得意では無いけど、この時はすごく早く走れて自分でも驚いた。早く会いに行きたい。その想いが強いせいか、今日は森がスッキリしていて、城までの道が通りやすかった。
城の前まで着くと、さっきまで会いたいと思っていた感情は一気に不安へと変わった。城門は1人が通れる分、開いていた。いざ、入ろうとなるとすごく怖い。
_____ダメだっ、こんなんじゃグクに会えない
不安を消し去るようにして、隙間を通って門内に入り、玄関のベルを鳴らした。グクが出てくる気配はなく、ドアノブに手をかけると鍵が空いていた。
🐻
🐻
グクー!
声をかけても反応がない。気が引けるが、扉を開けて入ってみる。グクは留守なのか、それとも寝てるのか。ソファのある部屋に行ってもグクはいなかった。
_____2階か?
2階に行ったことはなかったが、今すぐにでもグクに会いたかった僕は、2階への階段をかけ登った。廊下は奥に続き、真っ直ぐ進んだ突き当たりに扉を見つけた。扉をノックし、グクの名前を呼ぶ。しかし、返事はかえってこない。
_____なんでいないの?


_____......もしかして、倒れてるとか、、
頭がいっぱいいっぱいだった僕は、グクになにかあったんじゃないかと心配になってきていた。扉には鍵がかかっているようには見えない。ドアノブに手をかけ、静かに開く。中を覗くとベッドで横たわるグクが目に入った。こっそり中に入り、グクの寝顔をじっくりと観察する。愛らしい顔の頬は涙で濡れた痕がくっきりとついていた。
_____ごめん、グク。
心の中で謝りながら、グクの頬を指で撫でていると、腕に抱えられている写真立てが目についた。起きないようにグクの腕から写真立てをそっと取ってみる。
_____これ、、、僕?
写真立てには、笑い合いながら見つめ合う2人の絵が描かれていた。目を疑ってしまうが、何度見てもそこには今の僕ではなく、僕そっくりな男と少し雰囲気の違うグクが描いてある。
_____そうだ....これ、僕だ.....
涙が溢れて止まらなかった。
途端に頭の中に沢山の場面が映って見え始めた。走馬灯のように流れてくる記憶はすごく幸せで、時に苦しくもあってなんとも言えぬ感情だった。僕とグクは確かに一緒の時を生きていた。全ての記憶が流れ終わった後、僕は膝から崩れ落ちた。呼吸が上手くできず、沢山の感情で溢れかえっていた。
🐰
🐰
テヒョン!?
見上げると、青ざめたグクと目が合った。僕は急いでベッドに登り、グクを抱き締めた。
🐰
🐰
テヒョンっ、どうしたの?
グクの体温がすごく熱くて、こっちまで熱くなりそうだ。ずっと愛おしかった人の腕の中にいることがどれだけ幸せか。
🐻
🐻
.....僕、思い出したんだ。
僕たちのこと。
グクの胸に顔を埋めながら呟いた。
🐻
🐻
ごめん.....寂しかったよね、、。
顔を上げてグクを覗くと、目を潤わせ優しく微笑んでいた。
🐰
🐰
寂しくなかったって言ったら、嘘になるけど.....テヒョンがいつかは僕のこと思い出してくれるって信じてたから、あまり寂しくはなかったよ。
グクは僕の涙を指で拭き取る。
🐰
🐰
怖かった....テヒョンが記憶を取り戻したら、僕を嫌って拒むんじゃないかって
🐻
🐻
なんで......僕を殺したから?
🐰
🐰
.....テヒョンはやっぱり僕のこと恨んでるよね
グクの手を払い除け、揺れている瞳を真っ直ぐと見た。
🐻
🐻
んなわけない。僕は全く恨んでなんかないし、嫌いにもならない。過去を思い出してからグクに対する思いは、大好きとしか思っていない!
🐰
🐰
っ.........
グクは僕に抱きついて、詰まってでてこなかったものを全て出すかのように泣き出した。男の人がこんなに泣きじゃくりながら、すがりついてくるのは初めての経験であわあわしてしまう。僕はグクをそっと抱き締め、背中をさすり、落ち着かせた。
🐰
🐰
ほんとに自分が嫌だった.....死にたいって、、テヒョンがいない世界なんて意味がないって。あなたを手にかけてしまったことが、自分が憎たらしかった。
🐰
🐰
ほんとに.....ほんとにごめんなさい。
いくら謝っても償いきれない......
グクの背中をさすりながら、グクの言葉をしかと受け止めた。今、グクが縛られている鎖が解かれたらどんなにいいだろう。
🐻
🐻
グク.....僕、幸せだったんだよ。
例え、グクに殺されていたとしても、それがグクで良かったって思うよ。何をするにしろ、されるにしろ、全部グクがいいんだ。
僕はそれ以上なにも言わず、グクを抱きしめた。グクも黙って抱きしめ返す。そのうち涙は止まり、グクは少し乱れた呼吸で声を震わせながら言った。そして腕に力を込める。
🐰
🐰
テヒョン.....僕はまたあなたと一緒に居たい。
🐻
🐻
嬉しい....僕も、グクと一緒に居たい.....
グクは僕の首にキスをすると、そのまま一緒にベッドへ倒れ込んだ。

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