赤の99は一度言葉を切り、後ろを振り返って
共感を求めた
それに、すぐさま動じた街の人達は
機械的に、その細い顎を鎖骨に届くほど素早く打ち付けた
何度も
赤の99は安心したように微笑む
その微笑みにまた、一斉に頷いた
こらは私の理解力がないだけなのか
赤の街についての説明を受けたが、
いらっしゃいムードは感じられなかったけれど
そんなに仲間になりたいのならもっと
メリットも教えてほしいものだ
旅行会社の人は凄いのだな
お客に寄り添って、デメリットを伝えながらも
最終的にいいプランを提案してくれる
私だったら途中で客の希望をいくつか諦めてもらう気がする
この99さんも旅行会社に就職したら
もっと仲間を増やせるんじゃあないかな
まぁこのよくわからん世界に
旅行会社があればの話だが
見ればいつのまにか頬を撫でられていた
そして私の顔を覗き込みながら
共感を促してくる
今ここでNoときっぱり言うのもいいかもしれないが
私の人生にとってこの世界は関係のないもの
慣れしたんだ世界に帰るためには
情報を集めるためにもyesと答えても良いのかもしれない
帰れそうになったらこっそり出ていって
どうにか輝樹くん達と合流する
この選択はあまり大きなものではない
しかし、黙ってこの選択をyesにしたくない自分がいる
男子は配慮が無いのだろうか?
たしかに、輝樹くんには黒の街でお節介なことをされた
しかしそれを止めたのも男の一葉くん
それに母親というもっと配慮が無かった女もいた
自分の意見を押し殺してこの選択を
決めても良いのだろうか?
例え元の世界に戻るためとはいえど
帰る協力をする仲間の2人が居ながら
男を踏み台にしたいという意見を持ちたくない
お姉さんは、さぁ??っと言う前に
何かを一度答えようとしていた
私の木のせいかもしれないけれど
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。