第32話

配慮の足らなさ
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2024/03/10 07:15
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
もともとは、地下に閉じ込められる人に
使っている石だから、
こんな普通の街に置いてあるものでは
ないのよね
鈴江佳音
鈴江佳音
閉じ込められる…?
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
そう、閉じ込められるような人は
よっぽどの罪を犯した人だから、
服従させないと暴れる人も居るのよ
でも滅多に閉じ込められる人は
居ないけどね
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
でも万が一の為に
石を作る仕事があって、沢山、
城に蓄えられているんだって
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
地下には重要な設備も眠っているらしい
その地下には、なんだっけなぁー
そう!なんか記憶を見る機械とかがある
そんなことを聞いたことがあるよ
記憶を見る機械。
どこかで聞いた覚えがと思いながら
あっと思い出した 

私と輝樹君の命が危ういと知ったときのことだ

私達の詳細が分からないため、
記憶を見る機械を使って検査をすると
副作用として記憶喪失や植物状態になる可能性がある
と警備さんから聞いたのだ
なぜだろう、あまり強く頭に残っていない
あの石の副作用なのだろうか
まあいい、服従させられなかったよりはマシなのだから
それか、普通に私の記憶力が乏しいだけなのかも
少し考えられないけれど

自慢ではないが、1冊の本を一次一句覚えたこともあるし
社会など暗記分野は成績がいい
それにピアノを弾いていると暗譜をしなければいけないため
普通の人よりは覚えるのが早いし忘れにくいはずだ
今でも小学1年で弾いた曲は覚えているし
そう思いながら、記憶を辿るように上の方を見て
ぼんやりとしているお姉さんに話しかける
鈴江佳音
鈴江佳音
そんなに危険で珍しいものなのに
一目でその石だとどうして分かるんですか?
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
…ハァそれ聞くのね
あなたのこと配慮できる人って
言ったけど撤回する
深いところをグサッとつく人ね
そう言われても、
これは配慮のしようが無いではないかと思う
私の質問は石に関するものだし、
お姉さんがこの質問をして嫌だと思う根拠は
発見できない、そんな素振りは見せなかったもの
少しため息をつき、私は悪く無いと自分に言い聞かせながら
お姉さんを見つめる


あなかたが悪いでしょ、と恨めしそうに呟かれた
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
まぁいいわ、暇だしね
こっちの話でも聞いて、私が傷付いた理由が
よぉく分かるわ
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
私はもともと妹と住んでたの
どこか儚い笑みを浮かべながら、
ぽつりぽつりと言葉が連なっていく
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
妹はとってもクールっていうの?
冷静で誰にでも厳しく出来る人だった
でもそれのせいで近寄りがたくて
周りからうざいって思われてたのよ
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
そんな中
成績優秀、そして責任感のあった彼女は
あの石の効果を作り出す鍵盤を
鳴らす仕事に就いた
この仕事、凄い倍率なのよ?
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
私はなかなか就職できなくて
実家でのうのうと生きてたけど
時折、落ち着かないのか部屋を歩き回りながら話を続ける
妹さんは仕事を任されてから一生懸命に働いたそうだ
効果を存分に引き出す為にミスは許されないから

しかし一生懸命に働いていた彼女とお姉さんは
事件に巻き込まれる
お姉さんは誰かが仕組んだ事件だと思うと
言った
まず、妹さんが作る石の服従させる効果が
上手く作動しなかったことがあったらしい
その結果、地下に罪人を閉じ込めることが出来ず
逃亡した。
その原因は妹さんが仕事を怠ったからだと言われた
一生懸命に働いていたのに関わらず



そしてお姉さんはセルフィッシュ城の王をある日の夜
殺害しようとしたのではないか、と疑われた
その結果姉妹は無罪だったのにあらぬ疑いのせいで
地下に閉じ込められることになった
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
地獄だったわ、あの地下の空間
寒いし石のせいで気分が悪くなるし
でも死なせないようにはなってるのね
苦しいだけで意識が遠のくことはなかった
でも、私が苦しいとうめいている中、
妹は仕事を続けていた
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
閉じ込められた部屋のずっと
ずっと奥に仕事をする部屋があったの
そこまでの道のりをフラフラしながら
歩いていたわ
仕事を怠らなかった妹さんは
その姿を褒められるどころか、
容疑者に重要な仕事を任せた覚えはない、と
言われてしまったらしい
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
妹の行いは罪となってしまった
そして地下ではなく、黒の街に
連れ出されていった、今でも
黒の街に居るでしょうね
沈黙が続いていた。
悪い人だとはわかっているが
赤の街の人が様子を見に来ないかと期待してしまうぐらい
なんともいえない空気だった
鈴江佳音
鈴江佳音
…あの………その………
なぜ妹さんは黒の街に…?
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
…やっと口を開いたわね
気にしなくてよかったのに
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
そりゃあ黒の街は
城の人間が手を付けられないぐらいの
罪人の集まりにされたからよ
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
もともと王からいいように思われて
居なかった黒の街
ちょうどいいスペースだったのだろうね
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
黒の街を、入ったら出られないようにし、
そこに罪人を放り込んでいった
元々住んでいた人のことなんか考えず







青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
妹が黒の街に行ったすぐ後
私は釈放された
疑いが晴れて
それからは妹に会っていない、
でも会いたくて、会いたくて、
でも会えない、と苦しみながら少しでも側に感じたくて
尊敬していたクールな性格を自分に反映させてる

そう言われた

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