第28話

2度目
45
2024/01/21 11:49
赤の街の人々
あらぁぁ!新しい方?
可愛いわねぇーこれからよろしくねぇ?
赤の街の人々
その服はどこの街なのかしらー?
初めてみるわね








鈴江佳音
鈴江佳音
…こんにちはぁ!
ここは赤の街でよろしいですか?
あのぎこちない笑顔の人々
私の周りの人は赤色に数字が書かれた服を着ている
しかしその奥の方を見れば赤ではない青や緑などの色の
服も見えた
割合としては圧倒的にその赤色の服が多い

悪気はないのだが、この赤色胸をぞわっとさせる
というのもここの街には普通の通りの上にも
屋根のようなものがあり、街灯の周り以外は薄暗い
そのせいで血のように赤黒く見えるのだ
私のまわりを囲む赤色の服の人々はそうよと言いながら
私を頭の天辺からつま先までじろじろと見回す
薄気味悪かった
唇の端は上がっているが目は獲物を狙うハイエナのように
強く、そして光の欠けた瞳だった




赤の街の人々
あなたの服には数字が書いていないわね
せっかく可愛いデザインなのに可哀想だわ
赤の街の人々
そうだ!私ね
新しい服に数字を縫い付けているところなの
あなたの服にもついでに付けてあげるわ
おいで?
私が返事をするよりも早くおいでと言った人は
私の手首を掴み、ズンズンと歩いた
その後ろを他の人達が歩いている
手を引いている人は足元のタイルを ヒールの靴でコツンコツンと響かせていた
後ろを歩く人達からは地面を擦っている音だけが
聞こえていた
手を引かれ連れて行かれたところは一軒家
城や同じデザインがズラッと並ぶ建物ばかり見ていたから
煉瓦の屋根、真っ白な壁 
そのシンプルなデザインに安心感を覚えた
艷やかな白髪を編み込んだ女性が背を向け立っている
どこか見覚えがあった




赤の街の人々
ここの中よー?
ちょうどこの前来た青の街の人に
おもてなししてるとこなのー!
そう言いながらドアをパッと開ける
中には赤い絨毯の上にある机で、ミシンをかけた人
そして窓際のソファに腰掛けた見覚えのある人が
談笑していた






鈴江佳音
鈴江佳音
あぁー!
あの勿体無いお姉さん!










青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
怪しい女の子じゃん!
私とお姉さんがほぼ同時に叫ぶ
この人は私がこの世界に来たときに城へ連れていってくれ、
私を怪しいお嬢ちゃんと煽った人だった
透き通った白い瞳を飛び出そうなほど見開きながら
私を指差す
その沈黙の時間耐えきれないように
ミシンをかけていた人が立ち上がった
赤の街の人々
あなた達知り合いなのよね?
固まってないでなにか喋りなさいよ









鈴江佳音
鈴江佳音
…あっあの…
あれからどうなったんですか?
青の287 お姉さん
青の287 お姉さん
え?…まぁ城から開放されて
普通に生活してたけど、あなたは?
あの変な服からまた違う変な服に
なってるけど
鈴江佳音
鈴江佳音
私はあれから黒の街にテレポしちゃって
同じ境遇の人も見つかっt…ゲホッゲホッ
喋ろうとしたら急に喉になにかがつっかえた
咳をして和らげようとするがなかなかうまくいかない
目の前でお姉さんはオロオロし始めら私に近寄り
背中をたたいてくれた
そんな大変な私達を片目で見ながら、
赤の街の人々は動かなかった



私達がこうなるのが当然とも言うように





私の足元の絨毯が少しずれたと思えば肩にずっしりと
重さを感じる。





鈴江佳音
鈴江佳音
また倒れそ…
お姉さんが倒れてしまったと思った時には
目の前が真っ暗になっていた

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