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第16話

物語の終章
43
2024/02/18 06:00
局長
局長
アサギ…怪我、もう大丈夫か?
アサギ
アサギ
大丈夫です。もう治りました
かえもん
かえもん
治ってよかったー
アサギ
アサギ
かえもん、心配してくれてありがとう
執事A
執事A
お前たちのお陰で俺達は
執事B
執事B
あそこから脱出できたんだから
執事A
執事A
俺達からも感謝させてくれ
執事B
執事B
ありがとう
局長
局長
いやいやそんな、あなた達がいなかったら私たち牢屋から脱出できなかったんだぞ
緑の人
緑の人
何にせよいつもの日常が戻ったのは嬉しいことだね
キャプテン・スカル
キャプテン・スカル
だなー
秘書
秘書
結局あいつはなんのために生まれてきたんだろ
局長
局長
それはね、吸血鬼にも吸血鬼の生き方があるってことなんだ
秘書
秘書
私達に私達の生き方があるように?
アサギ
アサギ
俺達の生き方って結局なんなんでしょうね
局長
局長
それは私にもわからないなあ。まあそもそもあるようでないんじゃないのか?
アサギ
アサギ
そうですね。自分の生き方は自分で考えて答えを出すのが1番ですからね
かえもん
かえもん
ちょっと僕にはわからないや
かえもん
かえもん
かえもん
かえもん
お腹空いてきちゃった
アサギ
アサギ
お前…さっきからやたら静かだと思ってたらそんな理由だったのか
秘書
秘書
ふふふ
局長
局長
それじゃあみんな生き残れたしそのお祝いにどっか食べに行くか
かえもん
かえもん
やったー!
執事さんたちも付いてきていいよー
執事A
執事A
ほ、本当か?
執事B
執事B
でも俺達はあんな事しちゃったんだし
かえもん
かえもん
そんなに自分を責めないで!
悪いのはあいつなんだから
アサギ
アサギ
お前…それは違うぞ
かえもん
かえもん
ほえ?どういう事?
局長
局長
そうだな、あいつは自分の生き方を追い求めるあまりそう成ってしまったんだろうな
アサギ
アサギ
…あいつ、もともと人間だったみたいですよ
局長
局長
え?どういうことだ?
アサギ
アサギ
これ、読んでください
局長
局長
なになに…
今から百五十年前、一人の女性が森の中に消えた。
その女性は吸血鬼となり、今もなお人を襲っているそうだ。
茨の生えた館に住み、自分では決して人間を襲わない。
もし館を見つけても近づかぬよう。
局長
局長
そうだったのか…
ところでこの資料、どこにあったんだ?
アサギ
アサギ
なんか…俺達が逃げるときに使った穴の中にありました
局長
局長
ええ…でもこんな本見たことないぞ?
アサギ
アサギ
新しいですもんね
局長
局長
こんなに新しいししかも活字で書かれてるってことは他にもあったのかもしれないが…
秘書
秘書
多分、証拠がなくなるようにこの本を回収して捨てたつもりだったんだろうね
局長
局長
そうだ。この本にもう1文加えておこう
その館はもう、燃え尽きてしまって跡形もない。
この館に行ったものは誰一人として帰ってこなかったが
かえもん
かえもん
ちょっとペン貸して
局長
局長
ん?なんて書くんだ?
勇者かえもんとその下僕4人、そして二人の執事が帰って来ることができた。
アサギ
アサギ
お前!なんてこと書くんだ!
かえもん
かえもん
え?僕勇者じゃないの?
アサギ
アサギ
局長と秘書さんは俺達の上司なんだぞ!
こんなこと後世に伝えたら俺の立場がない!
局長
局長
まぁまぁ二人とも落ち着いて
秘書
秘書
かえもんはどこに行きたいの?
かえもん
かえもん
焼き肉!
執事A
執事A
…そういやずっと何も食べてなかったな
執事B
執事B
たしかに。せっかく誘ってもらったんだからご馳走させてもらうか
温かな春の光が5人の人間と一人のカエル、そして一人の天使を照らしていた。

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