カ チ ャ カ チ ャ …
金属と金属が擦れる音が聞こえる
うっすらと目を開けると自分が病院のベッドの様な物に
縛り付けられているのが分かった。
部屋を見渡しても暗くて良く見えない
唯一頼りになるのは聴力だけだった
水滴が垂れる音、泡がブクブクとなっている音、密かな呼吸音…
どれも微かなもので、とてもここがどこなのかわかる音はなかった
私のすぐ隣に、聞こえる
そちらに顔を向けると、人の背中らしき物が見えた
嗚呼、こんな時でも私は勝己のことばっかだなぁ
密かな期待を声に出したが、それが叶う訳もなく…
大人の男性の声…妙に優しく話しかけてくるのが逆に不気味だ
暗闇で顔が見えない
黙れミッキー((
あ、そうだ。私昨日夜散歩で中学校行って刺されたんだ
てか、お腹刺されたよね?私。全然今痛くないんだけど…
思考を読んだかのような言葉が来る。
何時間寝ていたかは分からないが、すぐ治せる傷では無かったはずだ
法律は無視ですか、はぁ…
監禁に個人情報流失、傷害罪…罪が重なりますなぁ
この中に殺人罪が入らないと良いけど…
個性をストック?そんなのできる個性あるの…?
人差し指を私の方へ突き出し、笑っているように見える
私の個性は強固性では無く、どっちかって言うと没個性に
近いと思うのだが…
何言ってんのか分かんないけど、コイツが危ない人なのは分かった
プ ス ッ
いつの間にか腕に注射器を刺されたかと思ったら
全身の力が抜けた
だんだん瞼が重くなっていき、頭にモヤがかかったような心地だ
このまま死んじゃうのかな
出久、無個性だしこれから大丈夫かな
おばあちゃんにも、迷惑かけちゃう
怖いよ……死ぬのが怖いのもあるけど、
皆に会えなくなるのもすごく怖い
それに……
勝己に好きって、言えてないのに。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。