第60話

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2025/04/20 00:10 更新












 お昼も食べ終わって、微睡む頃。

 うとうととしていた私の目を覚まさせたのは、

 ある一人の訪問客だった。






オンマ
 お久しぶりね、あなたちゃん  ! 
(なまえ)
あなた
 はい、お久しぶりです  ! 







 大きな紙袋を持ってやってきたのは、

 オッパのお母さま。

 私がオッパと付き合っていると知ったときから

 可愛がってくれる、とても優しいお母さまだ。






オンマ
 今日はね、良いもの持ってきたの  ! 
(なまえ)
あなた
 良いもの  …  ? 







 首を傾げれば、ごそごそと紙袋の中を漁り始める。

 そして取り出したのは、一冊の冊子だった。






オンマ
 これ、この前の大晦日に
 大掃除したときに見つけちゃって ... ! 







 ぺらり、と1枚目をめくって見れば、

 まだ目を開いていない赤ちゃんの写真が

 綺麗に並べて貼られている。






(なまえ)
あなた
 (  もしかして、これ   …  ) 







 ぺらぺらとめくってみれば、

 だんだんと成長していくその姿。






(なまえ)
あなた
 (  これ、オッパの小さい頃の写真  !!  ) 







 ばっとアルバムから顔を上げて

 お母さまの方を見れば、笑いながら頷いた。






オンマ
 これは  ...  幼稚園の年長さんの時のね。
 劇で、主人公の勇者をやらせて貰ったの 







 並んでいるのは、同じ格好をした3人の男の子たち。

 剣を構えたり、盾を掲げたりと

 勇者っぽいポーズをしている2人に
  
 挟まれたオッパは、まるでめんどくさそうに

 剣を支えにして立っていた。






(なまえ)
あなた
 (  この頃からこんな感じだったの  ...  ?  ) 







 あまりのオッパらしさについ笑みがこぼれる。

 ページをめくるごとにどんどん

 笑顔の写真が消えていくのが分かった。






(なまえ)
あなた
 あ、この写真可愛い 







 ふと目を止めたのは、応援団の格好なのか

 鉢巻きを巻いて大きな旗を持っているオッパの姿。

 大きさからいって、小学校6年ぐらいだろうか ... ?






オンマ
 ...  そういえばこの時初めて、
 自分の子供が不器用な子だって 
 心配したのよね







 そう言ったお母さまはふふ、と意味深気に笑った。






(なまえ)
あなた
 不器用、ですか  ? 
オンマ
 そうなの。 
オンマ
 最後の運動会だったのに、
 仕事が入っちゃってね ...
 見に行けないかもって言ったのよ。  
オンマ
 そしたら『 好きにすれば ? 』
 だなんて言うから、
 その言葉に甘えちゃったのよね。 
オンマ
 そしたら、その後
 しばらくずっと機嫌悪くって、
 あぁ、本当は来て欲しかったんだなって
 思ったわ。その後、他のママ友に頼んで
 貰ったのが、この写真ってわけ







 「不器用な子よね」と笑うお母さまに小さく頷く。

 この時からもう既にオッパは
  
 こんな性格だったんだな。

 無気力そうに写っているオッパの姿に、

 私の知らないオッパでも、

 オッパはオッパなんだと納得させられた。




 ぱらぱらとめくれば、

 オッパの姿は中学生の姿へと変わる。

 中学の制服を着たオッパはなんだか新鮮で、

 まだ幼いその顔に自然と笑みがこぼれた。






(なまえ)
あなた
 わぁ、すごい  … 







 卒業証書を持ったオッパの

 学ランが乱れていることに

 つい感嘆の声を上げれば、

 お母さまは声を上げて笑った。






オンマ
 私も、まさか自分の子が
 こんなマンガみたいに
 ボロボロになるなんて思わなかったわ。
オンマ
 ... でも、きっとこの時からね。
 女の子に対して極度に冷たくなったの 







 なるほど ... とさらにページをめくる。

 何枚かボタンを無くして

 制服をはだけさせたオッパの写真が続き、

 それからは私の知っている高校時代の

 オッパの写真が揃っていた。






(なまえ)
あなた
 よくこんなに撮らせてくれましたね  … 
オンマ
 盗撮しちゃった  ! 







 あは、と笑ったお母さまにつられて、一緒に笑う。

 そのままオッパの小さい頃について

 談笑していれば、 ガチャ、とドアの開く音が響いた。






オンマ
 あら、帰って来たみたいね 







 「そろそろお暇するわね」と、

 机に広がったアルバムを片づけ始める。






lk
lk
 …  誰か来てるの  ? 







 そう聞きながら入ってきたオッパは、

 お母さまを見るなり歩みを止めた。






オンマ
 お帰りなさい  ! 
lk
lk
 …  なんでいるの、 







 目を細めたオッパだったけど、

 机に乗っているアルバムを見た瞬間、

 これ以上ないほどに目を見開いた。




 近づいてきたオッパは乱暴に

 アルバムを紙袋へとつっこむ。

 そして、少しよれたそれをお母さまに差し出した。






lk
lk
 こんなの持ってうちに来ないで 







 「あなたにこんなの見せるな」と

 言うオッパは、少し怒っているらしい。

 けれどもお母さまは慣れたように

 笑いながら背中を叩いた。






オンマ
 ごめんごめん。
 でも、あなたちゃんも楽しんで 
 くれたからいいじゃない 







 「 ねー ? 」と聞かれ、咄嗟に頷く。

 そうすれば、ギロリとオッパに睨まれた気がした。






オンマ
 じゃあ、また何か面白いの
 見つけたら持って来るわね ! 
lk
lk
 持ってこなくていいよ 







 私より先に即答したオッパ。






オンマ
 あら、それじゃあ
 手ぶらだったら来て良いのかしら ? 







 ふふ、と笑ったお母さまに、

 オッパはバツが悪そうに目をそらした。






lk
lk
 …  好きにすれば  ? 







 その言葉を聞いた瞬間、つい2人で笑う。

 そんな私たちをまるでゲテモノでも

 見るかのような目で見ながら、

 お母さまを追い出すように送り出した。






lk
lk
 人の小さい頃勝手に見たんだから、 
 あなたの写真も出しなよ







 本気で小さい頃の写真を見られたのが

 嫌だったのか、むっとしている。






(なまえ)
あなた
 そ、それは追々  ...  
 にしても、可愛かったよオッパ ! 







 フォローを入れようと笑って言えば、

 何故か眉間の皺がさらに深くなった。






lk
lk
 …… 
(なまえ)
あなた
 …  私としてはオッパの 
 小さい頃が分かって、
 嬉しかったんだけどな 







 ぽつり、と呟けけば、

 私の頭の上にオッパの手が乗った。

 そのままぐっと力を込められる。






(なまえ)
あなた
 いっ、痛い痛いっ  !! 







 「 ぎぶぎぶ ! 」と何回か叫ぶまで、

 オッパの手は私の頭から離れることがなかった。

 「 ふんっ 」という音が似合いそうな

 態度で体を翻すオッパ。




 その耳はほんのりと赤く、

 照れ隠しだと分かるには十分だった。






(なまえ)
あなた
 (  か、可愛いっ  !!  ) 







 そんなオッパについぎゅっと抱きつく。

 そうすれば、いきなり背後から

 抱きしめられて驚いたのか、

 猫のようにピクリと体が跳ねたのだった。






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