お昼も食べ終わって、微睡む頃。
うとうととしていた私の目を覚まさせたのは、
ある一人の訪問客だった。
大きな紙袋を持ってやってきたのは、
オッパのお母さま。
私がオッパと付き合っていると知ったときから
可愛がってくれる、とても優しいお母さまだ。
首を傾げれば、ごそごそと紙袋の中を漁り始める。
そして取り出したのは、一冊の冊子だった。
ぺらり、と1枚目をめくって見れば、
まだ目を開いていない赤ちゃんの写真が
綺麗に並べて貼られている。
ぺらぺらとめくってみれば、
だんだんと成長していくその姿。
ばっとアルバムから顔を上げて
お母さまの方を見れば、笑いながら頷いた。
並んでいるのは、同じ格好をした3人の男の子たち。
剣を構えたり、盾を掲げたりと
勇者っぽいポーズをしている2人に
挟まれたオッパは、まるでめんどくさそうに
剣を支えにして立っていた。
あまりのオッパらしさについ笑みがこぼれる。
ページをめくるごとにどんどん
笑顔の写真が消えていくのが分かった。
ふと目を止めたのは、応援団の格好なのか
鉢巻きを巻いて大きな旗を持っているオッパの姿。
大きさからいって、小学校6年ぐらいだろうか ... ?
そう言ったお母さまはふふ、と意味深気に笑った。
「不器用な子よね」と笑うお母さまに小さく頷く。
この時からもう既にオッパは
こんな性格だったんだな。
無気力そうに写っているオッパの姿に、
私の知らないオッパでも、
オッパはオッパなんだと納得させられた。
ぱらぱらとめくれば、
オッパの姿は中学生の姿へと変わる。
中学の制服を着たオッパはなんだか新鮮で、
まだ幼いその顔に自然と笑みがこぼれた。
卒業証書を持ったオッパの
学ランが乱れていることに
つい感嘆の声を上げれば、
お母さまは声を上げて笑った。
なるほど ... とさらにページをめくる。
何枚かボタンを無くして
制服をはだけさせたオッパの写真が続き、
それからは私の知っている高校時代の
オッパの写真が揃っていた。
あは、と笑ったお母さまにつられて、一緒に笑う。
そのままオッパの小さい頃について
談笑していれば、 ガチャ、とドアの開く音が響いた。
「そろそろお暇するわね」と、
机に広がったアルバムを片づけ始める。
そう聞きながら入ってきたオッパは、
お母さまを見るなり歩みを止めた。
目を細めたオッパだったけど、
机に乗っているアルバムを見た瞬間、
これ以上ないほどに目を見開いた。
近づいてきたオッパは乱暴に
アルバムを紙袋へとつっこむ。
そして、少しよれたそれをお母さまに差し出した。
「あなたにこんなの見せるな」と
言うオッパは、少し怒っているらしい。
けれどもお母さまは慣れたように
笑いながら背中を叩いた。
「 ねー ? 」と聞かれ、咄嗟に頷く。
そうすれば、ギロリとオッパに睨まれた気がした。
私より先に即答したオッパ。
ふふ、と笑ったお母さまに、
オッパはバツが悪そうに目をそらした。
その言葉を聞いた瞬間、つい2人で笑う。
そんな私たちをまるでゲテモノでも
見るかのような目で見ながら、
お母さまを追い出すように送り出した。
本気で小さい頃の写真を見られたのが
嫌だったのか、むっとしている。
フォローを入れようと笑って言えば、
何故か眉間の皺がさらに深くなった。
ぽつり、と呟けけば、
私の頭の上にオッパの手が乗った。
そのままぐっと力を込められる。
「 ぎぶぎぶ ! 」と何回か叫ぶまで、
オッパの手は私の頭から離れることがなかった。
「 ふんっ 」という音が似合いそうな
態度で体を翻すオッパ。
その耳はほんのりと赤く、
照れ隠しだと分かるには十分だった。
そんなオッパについぎゅっと抱きつく。
そうすれば、いきなり背後から
抱きしめられて驚いたのか、
猫のようにピクリと体が跳ねたのだった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。