もうすぐ家に着くからと声をかければ、
辛うじて返事が返ってきた。
久しぶりに車を運転するために、
話している余裕はない。
赤信号で止まる度に起きてるか確認すれば、
毎回 「んー」と曖昧な返事が返ってきていた。
ノロノロとした動きで車のドアを開ける
オッパの元へと慌てて向かう。
そして近寄れば、ぎゅっと後ろから
抱きしめるように体重をかけてきた。
回された手を掴みながら頭だけ後ろへと向ける。
距離はたったの数センチ程しかなくて。
今までで数回しか聞いたことのない
言葉を言ったかと思えば、
まるで子供のようにへにゃりと笑った。
ぶわっと赤面する私の頬に
甘えるかのようにすり寄ってくる。
何度も何度も好き好きと連呼するその姿に、
きっと私は今日一生分のオッパからの
「好き」を聞くんだなぁ …
そんなことを思わずにはいられなくて、
降り続ける 「好き」の言葉を何度も
頭の中で反芻した。
言われ続けながら黙っていれば、
と、不安そうに瞳をゆらしながら、
ぎゅっと抱きしめる腕を強めて聞かれる。
その瞬間、嬉しそうに笑った
オッパを見て、きゅんと胸が高鳴った。
結局オッパはあの後ベッドに運ぶなり
倒れるように眠ってしまった。
しょうがないなぁ、だなんて思いつつも、
苦しくないようにとネクタイを解いて
シャツのボタンを少し開けてあげる。
お酒のパワーってすごいな。
そんなことを噛みしめながら、いつか絶対
もう1度酔わせてみようかな、だなんて考える。
けれども、それは次の日極度の二日酔いで
1日機嫌の悪かったオッパと触れあうことで、
真逆の考えへと反転させられるのだった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。