その後は、先輩に腕を引かれて歩く。
やっぱりまだ、電話しないで
移動したこと怒ってるのかな …
携帯を開けば、着信12件という表示があり、
それら全ては先輩からのものだった。
こんなに迷惑かけて、ほんと消えてしまいた。
ずーんと沈んでいれば
「着いたよ」と言う声に顔を上げる。
気付けば出店のあった場所とは違い
とても静かで、促されるままに
先輩の隣へと腰を下ろした。
続く沈黙に耐えられず口を開く。
「ほんとに」と言った先輩に
居たたまれない気持ちになった。
むっとした先輩に再び謝る。
けれども、心配、という言葉に気付いた
私は先輩の方を真っ直ぐに向いた。
そっと頬に手を伸ばし、
痛いぐらいに何度もなぞる先輩。
少し遠くで、パンッと大きく花火の音が鳴る。
でも、先輩からは目を離せなくて。
近づいてくる先輩の
胸元をぎゅっと握って、目を瞑る。
その日私は初めて先輩と、キスをしたのだ。
・・・
ただでさえバカなんだから。と
体を揺さぶられて、
ゆっくりと意識が浮上する。
声に反応して目を開ければ、
帰ってきたばっかりであろう
オッパがネクタイを解いていた。
なんで分かったの !? 目を見開けば、
それ。と指さされたチラシ。
少しくしゃりとなってしまったそれは、
私の手の中へと収まっている。
言い残してお風呂場へと向かった
オッパに自然と笑み が零れた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。