振り向くや否やまくし立てるように
そう言った先輩。
そう言えば私、待っててとか言いながら
何の連絡もせずにここに来ちゃったんだ …
はぁ、と切らした息を整えながら
伝う汗を腕で拭った先輩に
ぎゅっと胸が締め付けられる。
今日は迷惑かけてばっかりだ。
唇を噛みしめながらそう言えば、
ぽんぽんと頭を軽く叩かれた。
状況を説明すれば、
急にその子を肩車した先輩。
急に高くなった視界に驚きつつも
楽しくなったようで、
きゃっきゃと声をあげて喜んでいた。
肩車しているのにも関わらず、
軽々と歩いていく先輩。
私なんて、抱っこしようとしても
すぐ疲れちゃったのに …
先輩と私のその差に
どきどきしながらも歩き進めれば、
お母さんはあっけなく見つかった。
お母さんに何度もお礼を言われて
首を振っていれば、
下からも元気よくお礼を言われる。
「 見つかって良かったね ! 」だなんて
目を合わせて言えば、
不意に頬に暖かいものが触れた。
「 じゃあねっ ! 」と可愛らしく
去っていった小さな後ろ姿を見送って、
恐る恐る先輩の方を見る。
先輩はといえば、片手で携帯を弄っているから、
ああ見られずに済んだ。と心底安堵した。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!