椅子に座り、膝の上で拳をぎゅっと握りしめる
全て終わったというのに、安心なんて
全く出来なかった . あの人に触れられた
首筋や腕の感触がまだ残っているようで、気持ち悪い
はやくお風呂で綺麗に洗い流したい .
そう思って椅子から立ち上がれば 「 待って 」 と
オッパに腕を捕まれた
さっきの恐怖から、触られているのがオッパだって
分かっているのに怖く感じる
そんな私の様子を見たオッパは掴んでいた
腕を緩めると、私に極力触れないように、
それでも私を囲うように背中に腕を回してきた
そう優しく呟かれて、止まっていたはずの
涙がまたぽろぽろと溢れ出す . そんな私の
涙を指で救うと、そのまま額に優しく口付けた
怖かったとすがりつく私に何度も謝りながら
頭を撫でてくれる .
そのリズムの良い撫で方と、胸元に頭をもたれて
いるために香るオッパの匂いに、だんだんと心が
落ち着いてくるのが分かった
本当に無事でよかった ... そう言ったオッパに、
あんなことがあったにも関わらず心が浮つく
私のピンチを察して助けに来てくれるなんて、
まるで王子様みたい ...
ふふふ、とつい笑みがこぼれてしまった
私が笑ったことに安心したのか、今までずっと
慰めてくれていたオッパが尋ねてくる
そう言えば、私の頭を撫でていた手がぴたりと止まった
話の途中でいきなり肩に頭を乗せられ、
当たる髪の毛のくすぐったさについ反応する
そのまま私を抱き寄せたと思えば首筋に
ちくりと痛みが走った
私の言葉を無視して、至る所に吸いついていく
解放された時には、私の首もとは赤い華が
たくさん散っていた
そう言って、私の指にはまった指輪をさする
普段、滅多に痕なんてつけないのに
そんなオッパが見るのも恥ずかしいぐらい
私に 『 マーキング 』 をしたんだと思うと、
幸せな気持ちが体中に充満した















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。