自販機に行こうとしていた時、いきなり輝折が倒れてしまった。
それから一向に起き上がる気配がない。
打ちどころが悪かったのだろう。
僕は手遅れになる前に修理しないとまずいと思い、昂汰に早退すると伝え急いで家に帰った。
家に帰り、輝折を修理する。
その時、僕は思った。
輝折の告白した記憶を無くしてしまえばいいんじゃないかって。
僕を好きだった記憶を無くしてしまえばいいんじゃないかって思った。
だって、僕も輝折が好きだけど、ロボットに恋なんて後で辛くなるに決まってる。
だから早いうちに記憶を無くしてしまえば苦しくなることはない。
その方が輝折にとってもいい事だろう。
僕に囚われないから輝折も辛くなることはない。
…結局僕は逃げてばっかりだ。
今だけは何を言ってもいいかな?
許されるかな?
今だけは輝折に本当のことを伝えてもいいかな?
これでおしまい。
告白を誰かにも聞かれることなく、
静かに終わった僕の初恋。
数日間学校を休み修理をしていた。
修理が終わるとドッと疲れが出てきたので少しだけ寝ることにした。
目が覚めて、輝折を確認しに行くと起きていた。
もう気づかれてる。
これだからバグはいらないんだよ。
早く忘れてしまえばいいのに。
あんまり詳しく聞かれなかくて少し安心した。
次の日、学校に行った。
でも、一日中浮かない顔をしていた。
やっぱり、記憶が無いことに違和感があるのだろう。
後ろから聞こえてきたその会話。
僕はとても驚いた。
それと同時に昂汰に心の中で祝福した。
この間まで昂汰の完全な片思いだったのに…。
後ろを向いて手を叩きながら言う。
後ろを向いたので輝折の顔が見えた。
輝折の顔は少し明るくなっていた。
僕は気づいた。輝折は思い出してしまったのだろうと。
あぁ、もう本当にこれだから心は…。
──────嫌いだ
でも、もう輝折の記憶を消す手段は無い。
僕は覚悟を決めた。
次は絶対に逃げない。
ちゃんと輝折に気持ちを伝えよう。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!