第38話

E p i s o d e . 3 3
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2025/09/18 15:19 更新



パタン、とドアを閉めて、困惑する妻の頬に手を添えた。



(なまえ)
あなた
どうなさったのですか?今日はなんだかご様子が……



目の下が赤い。

綺麗な声も掠れていた。

決して体調がいいとは言えない様子なのに、私のことを心配している。



オーター
オーター
……とこ、が……
 
(なまえ)
あなた
はい……?
(なまえ)
あなた
ごめんなさい、もう一度お願いしても……
 
オーター
オーター
君のそういうところが嫌なんだ
 
(なまえ)
あなた
え……?



ぎゅっと彼女を抱きしめた。

細い。

昨夜はこの体が私を受け入れていたのだ。
 
背中に、恐る恐ると小さな手が回った。



(なまえ)
あなた
あの、私の落ち度が……わ、わからなく、て……申し訳ありません
 
オーター
オーター
誰にでも笑顔を振りまいて、優しさを見せるところが……怖いんだ……
 
(なまえ)
あなた
なぜ、怖いのですか……?
 
オーター
オーター
それであなたに惚れた男が、私よりもいい男だったら……?



彼女の背中をさする手が、ピタリと止まった。



(なまえ)
あなた
(ああ、この方は今、私に弱音を吐いてくださっているんだわ)
(なまえ)
あなた
旦那様
 
オーター
オーター
うん
 
(なまえ)
あなた
旦那様ご安心なさってください
(なまえ)
あなた
私、あなたの元へ嫁いだ時お話いたしましたでしょう?
(なまえ)
あなた
旦那様と一生添い遂げるからって
 
オーター
オーター
……でも、君は私を愛していなかったのだろう……?
 
(なまえ)
あなた
……私、私……あなたを愛したいです
 
オーター
オーター
え?
 
(なまえ)
あなた
勝手をお許しください
(なまえ)
あなた
私の気持ちは……ええ、確かに嘘をついておりました
(なまえ)
あなた
でも、私はあなたを愛したいのです
(なまえ)
あなた
どうか、どうか、わかっていただけませんか
 
オーター
オーター
……



懇願する細い身体は、19歳の少女だった。

忘れていた。

彼女はまだ、子どもだ。
 
それなのに、こんな人間と……



オーター
オーター
あなた、顔を上げてくれないか
 
(なまえ)
あなた
……っ
 
オーター
オーター
私も、君に幻滅されないように努力する
オーター
オーター
それに……今日のようなことは、もう二度としないと約束する
 
(なまえ)
あなた
鍵に魔法をかけたのは、旦那様だったのですね
(なまえ)
あなた
鍵屋さんにご迷惑をおかけしてしまいました
 
オーター
オーター
……ごめん
 
(なまえ)
あなた
いいえ……いいえ
(なまえ)
あなた
私たち、誤解が解けてよかった
 
オーター
オーター
許して、くれるのか……?



彼女は少し驚いていたが、すぐに微笑んだ。

いつものにっこりとした笑顔ではなく。

静かに。



(なまえ)
あなた
はい



私の手を握ったあなたは、ゆっくりと目を閉じた。

徐々に顔を近づけて、そっと唇に触れる。

優しく。

ガラスのように触れる。



オーター
オーター
愛してる、あなた……愛してもらえるように、頑張るから



君からの“愛してる”を、この耳で聞ける日が来るように。

嘘ではなく本当の愛を、もらえる日が来るように。



(なまえ)
あなた
お仕事は……?
 
オーター
オーター
……気にするな
オーター
オーター
それより体調はどうだ?まだ本調子ではなさそうだが
 
(なまえ)
あなた
大丈夫です、それなりに回復しましたので……
 
オーター
オーター
では、今日は一緒にディナーに行かないか
 
(なまえ)
あなた
まぁ……よろしいのですか?
 
オーター
オーター
もちろん
オーター
オーター
愛する妻を口説く手段として金を使うのは構わないだろう?
オーター
オーター
デートをしよう










こうして、愛されたい不器用な男と、愛したいお人好しな女の、結婚生活が幕を開けたのである。



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