パタン、とドアを閉めて、困惑する妻の頬に手を添えた。
目の下が赤い。
綺麗な声も掠れていた。
決して体調がいいとは言えない様子なのに、私のことを心配している。
ぎゅっと彼女を抱きしめた。
細い。
昨夜はこの体が私を受け入れていたのだ。
背中に、恐る恐ると小さな手が回った。
彼女の背中をさする手が、ピタリと止まった。
懇願する細い身体は、19歳の少女だった。
忘れていた。
彼女はまだ、子どもだ。
それなのに、こんな人間と……
彼女は少し驚いていたが、すぐに微笑んだ。
いつものにっこりとした笑顔ではなく。
静かに。
私の手を握ったあなたは、ゆっくりと目を閉じた。
徐々に顔を近づけて、そっと唇に触れる。
優しく。
ガラスのように触れる。
君からの“愛してる”を、この耳で聞ける日が来るように。
嘘ではなく本当の愛を、もらえる日が来るように。
こうして、愛されたい不器用な男と、愛したいお人好しな女の、結婚生活が幕を開けたのである。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。