第35話

E p i s o d e . 3 0
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2025/08/06 05:14 更新



______夜中。



(なまえ)
あなた
おかえりなさい
(なまえ)
あなた
早く帰ると仰っていたので少し心配しておりました
 
オーター
オーター
……だな
 
(なまえ)
あなた
はい?



彼女はキョトンとした顔をして、いつも通り私の上着を受け取ろうとした。



(なまえ)
あなた
ごめんなさいあなた、もう一度仰っていただいても……



伸ばされた腕を、手で勢いよく振り払った。



(なまえ)
あなた
っ……!



叩かれた衝撃で、彼女の軽い身体は床に倒れた。



オーター
オーター
嘘だったんだな
 
(なまえ)
あなた
え?
 
オーター
オーター
全部、全部嘘だったんだろう
 
(なまえ)
あなた
あなた……?
(なまえ)
あなた
どうなさったんですか?らしくな……いっ
 
オーター
オーター
あなた



怯えた様子のあなたの細い腕を掴み、ぐっと顔を近づけた。

小刻みに震えている。



(なまえ)
あなた
だ、んなさま……ごめんなさい、私っ
 
オーター
オーター
三十路の勘違い男が浮かれているのを眺めるのは楽しかったか?
 
(なまえ)
あなた
え……?



大きな目が、何を言いたいのかわからないと訴えていた。



オーター
オーター
私は君を本気で愛している
オーター
オーター
君も同じ気持ちだと思っていたのは、見事に騙されたということだな
 
(なまえ)
あなた
ど、うして……
 
オーター
オーター
レインの弟を愛しているんだろう
 
(なまえ)
あなた
……っ
 
オーター
オーター
ハッ……舐められたものだな
 
(なまえ)
あなた
うっ……!



小さな顔を叩き飛ばして、彼女はまた床に倒れた。

腕は青アザができている。



(なまえ)
あなた
だ、だんなさまっ
 
オーター
オーター
自分のせいだろう
 
(なまえ)
あなた
……ご、ごめんなさい



自分を抑えることが出来なくなっていた。

彼女にこんなことをしたいんじゃない。

こんな顔をさせたかったんじゃないのに。



オーター
オーター
私だって最初は、形式上の夫婦でいいと思っていた
オーター
オーター
どうせ親を黙らせられればそれでいいと思っていた
オーター
オーター
君のせいだ……っ
 
(なまえ)
あなた
……っ
 
オーター
オーター
君が……私に……踏み込んできたからだ……っ
オーター
オーター
もしもあなたじゃなかったら……こんなことにはならなかったのに



何も言わない。
 
それに無性に腹が立って、蹲る彼女の腕を引っ張った。

よろよろと立ち上がり、怯えた目で私を見る。

お構いなしに、それを持ち上げた。



(なまえ)
あなた
うう……っひう……
(なまえ)
あなた
ごめんなさい……っ下ろしてください……
(なまえ)
あなた
いっ……



私の部屋の扉を開け、乱雑にベッドに落とした。



オーター
オーター
私が怖いか
 
(なまえ)
あなた
許してっ……ごめんなさい……



あなたの服に手をかけると、元々白い顔がさらに蒼白になった。



オーター
オーター
すぐに妊娠するものだと思っていたと、以前言っていたな
 
(なまえ)
あなた
……い、いやっ……
 
オーター
オーター
……
 
(なまえ)
あなた
やめてください……
 
オーター
オーター
……ようやく本音を言ったか
 
(なまえ)
あなた
ごめんなさい……許して……やだ……



命乞いに似たそれを言って欲しかったのでも、謝って欲しかったのでもない。

だって彼女は何一つ悪くないのだから。
 
私だってそれくらいわかっている。
 
ただ……否定して欲しかった。

「レインの弟を愛しているのか」というあの質問を否定して欲しかった。

「あなたは勘違いをしただけで、私はあなたを愛しています」と、そう言って欲しかっただけだった。



オーター
オーター
(……いや)



たとえそう言われても、私は信じなかっただろう。



 
オーターさんあんた、あの親父の血を継いだことと、あんな酷い教育を受けて育ったんだから、虐待癖あるだろ……

だって弟子の訓練に殺す気で攻撃する奴なかなかいないよ?
 

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