酷い頭痛で目が覚めた。
頭痛だけではない。
起き上がると、身体中がズキズキと痛んだ。
シーツに赤い血が染み込み、私の身体にも、そこら中に赤い跡があった。
隣に、夫はいない。
内側を殴られた後のような腹の痛みを抑えて、私はベッドから降りようとした。
しかし、足に力が入らず、そのまま無様に床に身体が落ちる。
みっともないな。
自分を心の底から笑いたくなった。
痛いし、苦しいし、辛いのに……もう涙は出ない。
きっと昨日の夜で枯れてしまった。
代わりに出たのは、声にすらならない空笑い。
喉は機能していない。
ただ静かに、カサカサと空気が出る。
低い声の夫が入ってきた。
裸の私とは大違いに、綺麗な格好だ。
仕事に行くのだろう。
金縛りにあったように動けなくなった。
全身が恐怖に支配されて何もできない。
殴られる?蹴られる?
それとも……また……
身体は震えるだけで動いてはくれなかった。
神覚者様を相手に動いたところでどうにもならないだろうが。
喉に虫が巣食っているような、そんな痛みと。
そこから出たのは空気だけだった。
そんな私の身構えとは裏腹に、まるで昨日とは別人のような夫が、優しい瞳で私を見ていた。
そしてそのまま、ふわりと腕の中に囲われる。
思えば、夫が怒った理由は頷ける。
私は、嘘をついていたのだから。
嘘の愛を、彼に述べ立てていたのだから。
許してくれるのかな。
私を。
優しい人だ。
クスッと笑った夫は、私を抱えてお風呂に入れてくれた。
着替え終えて、昨日の夜作っておいた食事に手をつける。
喉の痛みで、上手く通らない。
いつもよく食べる私に対して不思議に思ったようだ。
しかし、彼は特に何も言わなかった。
食事が終わったあとに、紅茶を淹れてくれた。
優しい。
温かい人。
昨日のことは夢だったのだろうか。
いや、私の身体が夢じゃないと言っているが。
気を使わせてしまった……?
私の頬を撫でてキスを落とし、彼は家を出ていった。
冷蔵庫を開けると、昨日でお肉もお魚も使いきってしまっていたことに気がついた。
買いに行こう。
買い物バッグを手に、私もドアノブに手をかけた。
カチャカチャといくら回しても、開かない。
鍵は開いているはずだった。
なぜかドアが開かない。
伝言うさぎから、鍵屋さんに電話した。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。