事件当日。
「えー緊急速報です。東京都〇〇区で殺人事件が発生し、犯人は今も逃走中だと言われています。皆さんは戸締りをしっかり確認し、不用意な外出を控えてください。」
「殺害されたのは、あなたの苗字書いてね〜家両親で、子供の行方がわかっていないようです。」
「警察が駆け込んだところ、母親と見られる方が、娘だけでも…逃がしてくださいと言い残したそうで、その後死亡が確認されました。」
俺は不安になって、考えることもなくあなたの下の名前書いてね〜の家まで裸足で走った。
家に着くとそれは酷いものだった
家は玄関から溢れ出る赤黒い液体。
あなたの下の名前書いてね〜ちゃんは……
俺はなんのためらいもなく庭に回って家の中に入った。
………足が痛い。でもそんなのどうでもいい。
泣き声…?
子供2人分くらいの大きめなクロゼットを開けた。
「ひッッく…うぅ…グスン……」
俺はあなたの下の名前書いてね〜ちゃんの頭を撫でた
親が殺されたって言うのに、俺がいるからか、なぜか泣き止んでいた。
外に出た瞬間。
「あ!そこの嬢ちゃん、大丈夫だったかい?」
「僕たちはおまわりさんでね、あなたの苗字書いてね〜あなたの下の名前書いてね〜ちゃんであってるかな?ちょっとお話が聞きたくてね」
警察の人が声をかけた。事情聴取するためだろう。
あなたの下の名前書いてね〜ちゃんは逃げた。大人が怖かったんだろう。俺が追いかける頃には姿はなかった。
それから、何年か経った今。俺はあなたの下の名前書いてね〜ちゃんと再開した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!