第9話

9話
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2025/01/31 14:54 更新
目覚めると見慣れない天井
まだ少し重い体を起こし、周りを見渡す
どうやらここは保健室らしき場所らしい
それがわかるのは雰囲気のあるベッドとそれを囲むカーテンだった
ひとつまたいだベッドはカーテンが閉まっていて、誰だろう、と思う
私は後ろ姿を見せる保健室の先生らしき人の肩をノックするようにトントン、と叩いた
リカバリーガール
目が覚めたのか、もう大丈夫かい?
あなた
あ、え、あっ、ハイ!
リカバリーガール
もう少し休んでもいいが、どうするさね?
みんなに会いたいけれど、まだ少し痛む全身
どちらを優先するかは決め難い
あなた
えーと、うー、戻り…ます
リカバリーガール
大事にしんさいね
リカバリーガール
そういえば女の子何人かが来てたよ
あなた
あっ、お、教えてくれてあ、ありがとうございます
あなた
しっ、失礼しました
私は保健室を出ると教室まで小走りで戻る
みんな来てくれたんだ、申し訳ないけど、なんか嬉しいな、なんて複雑な思いになる
私は教室のドアを少し開け、顔を出して覗き込む
芦戸三奈
あっ、あなたの下の名前ー!
葉隠透
大丈夫だった?心配したよー!!
みなちととるちゃんが私に抱きつく
抱きつかれるなんて小さい頃にしかされたことがなかったから、顔が赤くなっていっているのが自分でもわかる
耳郎響香
全身 赤っぽくて熱あんのかと思った
あなた
個性の副作用的な感じでした!あんな痛くなるとは思わなくて…
葉隠透
全身痛くなるってわかっててやったんだ、度胸すごいね!?
あなた
想像以上に痛かったです
あなた
乾燥して手が血だらけでびっくりしました
芦戸三奈
もー、マジでメンタルは強すぎる!
メンタル”は”という言葉に引っかかりながらも、着替えをとって更衣室へ向かう
緑谷サンはまだ保健室の様で、あのカーテンが閉まっていたところにいたのか、と呟く
あなた
置いて帰らないでくださいね…
葉隠透
大丈夫!あなたの下の名前ちゃんだけ方向真逆だけど置いてかないから!
あなた
う、ぅあ…ま、ぎゃく…
芦戸三奈
葉隠、涙彩が気絶してる
葉隠透
え、ええ!?
あなた
はっ!着替えてきます
耳郎響香
切り替え…
小走りで教室から出ていき、更衣室へ向かうと、包帯を巻いた緑谷サンとすれ違った
あなた
あ、え、試合凄かったです!ひ、ヒーローっぽかったです!
焦ってファンのような感じになってしまい、さらに焦る
すると緑谷サンも焦り始めて
緑谷出久
え、ああ、ありがとう!
と顔を真っ赤にして言った
お互いに気まずいため、そこで話は終わり、緑谷サンと反対方向に進む
更衣室に着き、コスチュームから制服に着替える
轟サンの言葉を思い出し、逆に単純じゃない動きってなんだって思う
みなちとかみたいに動き回れないし、爆豪くんみたいに後ろに回るとかもできない
尾白くんみたいに武闘みたいな感じはわからないし、みんなみたいに個性的な動きもできない
あなた
(よくわかんないです…)
結局なにかコツを掴むこともなく、更衣室から出る
歩き始めて少しした廊下の窓から下を見ると、爆豪くんと緑谷サンが話していた
そこにオールマイトが来て…なんて忙しい感じになっている
あなた
てか、爆豪くんって泣くんだ…
あなた
親近感!!
私ほど泣いていたわけじゃないが、私以外にも泣く人がいると思うと安心する
爆豪くんって泣くんだね、なんて言ったら爆豪くんが怒ると思うから言わない
耳郎響香
おかえり
あなた
いつのまに教室が来たんですか!!?
葉隠透
教室じゃなくてあなたの下の名前ちゃんがこっちに来たんだけどね
芦戸三奈
じゃ、帰ろー!
私たちはカバンを手に持ち、教室のドアから出て行こうとする
すると私の肩にトントンと二回手が乗った
麗日お茶子
一緒に帰ってもええかな…?
後ろを向くと麗日さんだと分かって体の方向を教室の方に戻す
芦戸三奈
私は大歓迎!
耳郎響香
ウチも
葉隠透
私もー!
あなた
わ、私も…!
麗日お茶子
ありがとう!
その笑顔はすごくキラキラしてて可愛らしかった
芦戸三奈
麗日とリラって髪型似てない?
葉隠透
確かに!
あなた
へっ!?あっ、確かに…?
麗日お茶子
この髪型で被るの初めてやわ!
耳郎響香
独特ではあるよね
麗日サンの髪型はふんわりとしたボブに横髪は少し長い
私は麗日サンの後ろ髪より少し長くて、肩につかないぐらいの髪の長さで、
似てるような似てないような、髪の長さの少しの違いがある
私の前髪はじろちゃんよりもすこし長いパッツンのようになっているため、
二人が混ざり合っているような感じだ
あなた
あっ、えと、なんて呼べばいいですか?
麗日お茶子
私?好きなように呼んでええよ!
あなた
エッ、
あなた
じゃあ 麗日ちゃん…とか
麗日お茶子
可愛いね、ありがと!
麗日ちゃんのピンク色の頬がまた少し赤くなる
私も、みんなもつられて笑った
葉隠透
すっごい微笑ましいね!
耳郎響香
親になった気分
芦戸三奈
わかるー!
わたしは麗日ちゃんと顔を見合わせて、また笑う
あなた
ミ、みんな、今日の戦闘訓練どうでしたか…?
話を変えようと、みんなに勇気を出して問いかける
みんなは少し考え始めて、少し静かになった
あなた
(き、気まずい…)
麗日お茶子
私はー…その場にあった行動をとる…とかかな?
そんな時に沈黙を破ったのは麗日ちゃん
同時に風が吹いて、おちゃの綺麗な茶色の髪が揺れた
耳郎響香
ウチは攻撃もできるようにしたほうがいいかなって
耳郎ちゃんは耳たぶのプラグをシュ、と勢いよく前に出す
その後、少しずつプラグを短くしていき、終いには通常の長さに戻った
芦戸三奈
んー、私は短距離系だからさ、遠距離でもいけるよーに頑張ろっかなー!
三奈ちゃんは私に笑いかけて言った
夕焼けの光がみなちの横顔に反射して薄くペールオレンジのような色になる
葉隠透
私は私にできること探すしか!
動きは肩より少し先しか見えないけれど、なんとなく両手を上下に振っている気がする
ほんの少しの風が横の方に流れていく
芦戸三奈
涙彩はー?
あなた
ウ"
私は立ち止まって、少し地面を見つめる
あなた
単純じゃない動きってなんでしょうか?
みんなはなんでもなさそうにして、私に言った
耳郎響香
誰かの真似していけばいいじゃん、いろんなことできる個性だし
葉隠透
そーそー!そこから自分なりの戦い方見つけてこー!
麗日お茶子
私もそれ、ええと思う!
周りはいつも私にない発想を持っている
それで何度も苦しい思いをした
だから、みんなが私の為に考えて言ってくれたのが
麗日お茶子
ええ!大丈夫!?
耳郎響香
急に泣き虫モード発動した
芦戸三奈
涙彩大丈夫ー?
葉隠透
あ、こすんないでー!酷くなるよー!
あなた
う、ありがと、ございます
ただただ嬉しかった
芦戸三奈
そう?全然そーじゃなさそうだけど、駅ついちゃったね
あなた
わ、私帰れるます!…帰れます!
麗日お茶子
心配なるなあ
みんなが心配そうに私を見つめる
私は大丈夫だよ、なんで信用のない言葉を吐き捨てて、反対方向のホームへ向かった
すると反対側のホームにじろちゃんたちが降りてきて、私は大きく手を振る
四人は笑って手を振り返してくれて、心の奥がすごく温まった
泣き虫も直さなきゃな、とぽつり、笑顔で呟いた

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