目覚めると見慣れない天井
まだ少し重い体を起こし、周りを見渡す
どうやらここは保健室らしき場所らしい
それがわかるのは雰囲気のあるベッドとそれを囲むカーテンだった
ひとつまたいだベッドはカーテンが閉まっていて、誰だろう、と思う
私は後ろ姿を見せる保健室の先生らしき人の肩をノックするようにトントン、と叩いた
みんなに会いたいけれど、まだ少し痛む全身
どちらを優先するかは決め難い
私は保健室を出ると教室まで小走りで戻る
みんな来てくれたんだ、申し訳ないけど、なんか嬉しいな、なんて複雑な思いになる
私は教室のドアを少し開け、顔を出して覗き込む
みなちととるちゃんが私に抱きつく
抱きつかれるなんて小さい頃にしかされたことがなかったから、顔が赤くなっていっているのが自分でもわかる
メンタル”は”という言葉に引っかかりながらも、着替えをとって更衣室へ向かう
緑谷サンはまだ保健室の様で、あのカーテンが閉まっていたところにいたのか、と呟く
小走りで教室から出ていき、更衣室へ向かうと、包帯を巻いた緑谷サンとすれ違った
焦ってファンのような感じになってしまい、さらに焦る
すると緑谷サンも焦り始めて
と顔を真っ赤にして言った
お互いに気まずいため、そこで話は終わり、緑谷サンと反対方向に進む
更衣室に着き、コスチュームから制服に着替える
轟サンの言葉を思い出し、逆に単純じゃない動きってなんだって思う
みなちとかみたいに動き回れないし、爆豪くんみたいに後ろに回るとかもできない
尾白くんみたいに武闘みたいな感じはわからないし、みんなみたいに個性的な動きもできない
結局なにかコツを掴むこともなく、更衣室から出る
歩き始めて少しした廊下の窓から下を見ると、爆豪くんと緑谷サンが話していた
そこにオールマイトが来て…なんて忙しい感じになっている
私ほど泣いていたわけじゃないが、私以外にも泣く人がいると思うと安心する
爆豪くんって泣くんだね、なんて言ったら爆豪くんが怒ると思うから言わない
私たちはカバンを手に持ち、教室のドアから出て行こうとする
すると私の肩にトントンと二回手が乗った
後ろを向くと麗日さんだと分かって体の方向を教室の方に戻す
その笑顔はすごくキラキラしてて可愛らしかった
麗日サンの髪型はふんわりとしたボブに横髪は少し長い
私は麗日サンの後ろ髪より少し長くて、肩につかないぐらいの髪の長さで、
似てるような似てないような、髪の長さの少しの違いがある
私の前髪はじろちゃんよりもすこし長いパッツンのようになっているため、
二人が混ざり合っているような感じだ
麗日ちゃんのピンク色の頬がまた少し赤くなる
私も、みんなもつられて笑った
わたしは麗日ちゃんと顔を見合わせて、また笑う
話を変えようと、みんなに勇気を出して問いかける
みんなは少し考え始めて、少し静かになった
そんな時に沈黙を破ったのは麗日ちゃん
同時に風が吹いて、おちゃの綺麗な茶色の髪が揺れた
耳郎ちゃんは耳たぶのプラグをシュ、と勢いよく前に出す
その後、少しずつプラグを短くしていき、終いには通常の長さに戻った
三奈ちゃんは私に笑いかけて言った
夕焼けの光がみなちの横顔に反射して薄くペールオレンジのような色になる
動きは肩より少し先しか見えないけれど、なんとなく両手を上下に振っている気がする
ほんの少しの風が横の方に流れていく
私は立ち止まって、少し地面を見つめる
みんなはなんでもなさそうにして、私に言った
周りはいつも私にない発想を持っている
それで何度も苦しい思いをした
だから、みんなが私の為に考えて言ってくれたのが
ただただ嬉しかった
みんなが心配そうに私を見つめる
私は大丈夫だよ、なんで信用のない言葉を吐き捨てて、反対方向のホームへ向かった
すると反対側のホームにじろちゃんたちが降りてきて、私は大きく手を振る
四人は笑って手を振り返してくれて、心の奥がすごく温まった
泣き虫も直さなきゃな、とぽつり、笑顔で呟いた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!