マリーへ
今日もご機嫌いかが?
今夜良かったら会いたくて…
渡したいものがあるの。
ネリネより
ピィピを鳥籠に入れる。
このピィピは、ネリネ様が私と密会する用に飼い始めた伝書鳩。
スラスラと万年筆を動かす。
あっと言う間に返事を書き終えた。
改めて、返事を見返した。
ネリネ様へ
お誘いいただきありがとうございます。
是非とも行かせていただきます。
マリーより
見返せば見返す程、自分の返事がおかしく見えてくる。
数十分後
ようやくできた返事を光に透かした。
光の移ろいと共に、達成感がこみ上げる。
バサバサと、ピィピはどびさっていった。
ネリネ視点
軽やかなリズムが部屋に響き渡る。
アプリコットの紅茶。ピスタチオクリームが挟まっているマカロン。更に、砂糖が宝石の様に散りばめられているストロベリーケーキ。
遠くの空にあるのはマシュマロ?
あ、あれは…
先に、ストロベリーケーキをパクリ。
甘酸っぱい果肉と砂糖のアンバランスだけど計算されているハーモニーがたまらない。
しばらくして、ピィピが持ってきた少しクシャリした返事を受け取り、中を読む。
私はラッピングされた小さめの箱に目を移した。
夜、ネリネの家にて
もしかしたら、もう会わないようにしましょう、位が違いますからもう縁を切りましょう、などと言われるかもしれないからだ。
と目隠しを渡された。
どことなく不安で躊躇してしまう。
と、今まで浮かんだ良からぬ妄想を振り払い、目隠しを付けた。
しばらく、ドタバタと音が聞こえる。
そして、その音が遂に私の前に止まった。
目隠しを外し、恐る恐る目を開けると、そこには丁寧にラッピングされた箱があった。
包み紙を丁寧にゆっくり開いていく。
中に箱があった。パカリと蓋を開けると、そこには柔らかそうな陽だまり色をしたブランケットがたたんであった。
微笑ましい光景を、月がこの後起こる悲劇を示す様に照らした。


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。