side.田中樹
涙が次から次へと溢れて止まらない。
北斗は、俺らの知らない間に苦しんで、怖がって。
それで、この世を去る選択をした。
どれだけ辛かっただろう。
どれだけ、苦しかっただろう。
苦しくて、悲しくて、自分のことが大嫌いになって。
久しぶりに、こんなに泣いた。
守りたいって、会いたいって思った人と会うことができない。
まだ、恨んでくれた方がよかった。
そうすれば、誠心誠意謝れるから。
なのに、なのに、北斗は…
愛してるって、言ってくれた。
世界一、愛してるって。
それが、嬉しくもあり…
そして、苦しくもあった。
みんなが、泣き崩れている。
北斗から間接的にもらったこの鍵が、遺品になるなんて思ってもいなかった。
俺は、俺らはいつも遅すぎる。
大切な人を失ってから、過ちに気がつく。
それじゃあ、駄目なのに。
…ねぇ北斗、北斗はさ…
一緒に連れて行ってって頼んだら…そしたら、迎えに来てくれる……?












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!