年に一度の祭典、雄英体育祭。
多くのプロヒーローがスカウト目的で見に来ており、会場は満席。
外では屋台などが出ており、食べながら見ることが出来る。
そんな会話をしているあたしたちがいるのは1-Aの控え室。
緊張している子もいるが、ほとんど普段と変わらない。
いつもと違うのはあたしだけ。
赤色のメガホンにキラキラを沢山つけてデコってきたメガホンを見せびらかす。
普通の体育祭とは違って、ハチマキもないし団によって異なるカラーTシャツもないから何色にすればいいかわかんなかったけどね。
とりまオシャレしまくってきたのにみんな何もしてないとはどゆこと
飯田のその言葉で、一部は緊張が高まっている。
目の前では緑谷と轟がバチバチだが、なんにせよ2人ともやる気は十分なようだ。
そんなこんなで雄英体育祭、本番がスタートしようとしていた。
■ □ ■ □
緊張している人も多々いるが、していない人の方が多そうに見受けられる。
緊張してない例としては爆豪とかね。
次々にほかのクラスが入場してくる。
あたしたちA組は壇上の前に並ぶ。
その壇上にいるのは、18禁ヒーロー、ミッドナイトだ。
切島がそういうと、隣の方から「ヒーロー科の入試な!」という声が聞こえてくる。
は、何あれ感じ悪
文句言われたので煽り返したら瀬呂に怒られるわ向こうから舌打ちされるわ、挙句の果てにはミッナイ先生からお叱りを受けた。
解せぬのだが??
いきなり選手宣誓でかましてきた爆豪をブーイングするものもいれば呆れる者もいる。
ちなみにあたしは肯定派。
いいぞもっとやれ爆豪
目の前の大きなモニターに映された文字を読み上げる。
ていうか全員出る種目なのね、まだまだこのメガホン使うのは先かぁ…
ミッナイ先生の号令の元、全員が一斉に位置に着く。
あたしは手や足を伸ばしながら様子を見る。
近くにいた上鳴と少し喋ったあと、いよいよ始まる第一種目。
そんな声を聞き、全員が一斉にスタートした。
…が、外に出るまでのトンネルの道が思ったより狭く、みんながぎゅうぎゅう詰めに押し込まれていた。
これ前の方有利すぎん?
近くにいたやつに叫びながらも、あたしは個性を発動する。
“暴風”を使って上に飛び出た後、そのまま背中を押すように一気に前に出る。
トンネルのようなスタートゲートを抜けると、轟の個性だろうか、氷によって抜け出せないでいる生徒が多数いた。
爆破しながら前を進む爆豪に話しかけながら悠長に進む。
…あれ、もしかしてもしかしなくともこれって順位前に出すぎた系?
目の前を見ると、そこは入試の時に登場したポイント付きの仮想ヴィランというやつ。
あたしが適当に壊してたやつだ。
しかもこの手のやつはあたしの個性の1つの本領が発揮される。
仮想ヴィランを目の前に臆すことなく走り込み、下に潜って手のひらをくっつける。
すると上の方からバラバラと落ちてくる仮想ヴィランの残骸。
今使ったのは“倒壊”というあたしの個性の1つ。
手のひらで触れることで、大きさ15m以上のものを崩すことができる。
地面とかは崩せないが、かなり強力なものの一つ。
このままどんどん行っちゃお!!
崩壊する残骸を避けながら前へ進んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!