第8話

花火
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2025/11/26 09:40 更新
花火が鳴り響き、夜空には美しい炎の華が広がります。無言で私は空を見つめると色とりどりの花々が照らし、皆の目を奪います。きっとあの少女もこの光景を見ているのでしょう。誰かと一緒に…そう、家族とでも見ているのでしょうね。それが当たり前なのでしょうけれど。なんだか…それも少し寂しいかもしれません。
牡丹
牡丹
……会いたいです
柄にもなく、そんな事を願ってしまう。私は彼女に、雪に会ってから少し変なのかもしれません。だって、それぐらいずっと彼女の事を考えているのですから。明るい赤や桃、青の花火が打ち上がり、一人でいる私を照らします。しかし、その花に目を向けるのも億劫になるほどに疲れているのでしょうか。少し嫌になってしまいます。
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
あ、牡丹。やっぱりここにいたんだ!
牡丹
牡丹
え、
声に釣られて目をやるとあの艶のある黒髪が見えます。そこには雪さん…いえ、雪が居ました。いつもの黄色の花の着物ではなく、椿が描かれた浴衣を身にまとっていました。そして、雪は買ってきたのか、大量の食べ物を地面に置き、こちらを手で招くように動かしています
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
買ってきたんだ、一緒に食べよう?
牡丹
牡丹
……まさか、こんなに買ってきてくださるとは。ありがとうございます
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
ううん、いいの。私が一緒に見たかっただけだから
あまり地べたに座り、なにかを食べるのは褒められたことではないですが、今回は多目に見ることにしようと心で決めてすぐに彼女の横に座りました。雪は飴でコーティングされたリンゴを頬張ります。その顔には嬉しそうに笑みを浮かべており、そのリンゴが好物なのがよくわかります。その姿を見るとなんだか温かな気持ちになってきます。私が何にも手を付けていない事に気付いたのか、彼女は雲を取りました。すそして、雪に「はい」と言われて彼女の持っていたふわふわとした甘い雲のようなものを手渡されました
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
こうやって食べるんだよ
牡丹
牡丹
……なるほど
彼女は雲をちぎって口に入れているので真似をすると、甘味が口の中に広がっていきます。ふわふわとしていましたが、段々と口の中で溶けて不思議な感覚です
牡丹
牡丹
わぁ…
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
あ、見て!すごく綺麗!
一番大きい花火が空に咲き誇り、美しい明かりがともります。ドンッと大きな音が少し遅れて響き渡りますが、私はその音に慣れずにドキッとしてしまい、分かりやすく体をビクッと跳ねさせてしまいました
_川堀雪@かわほりゆき_
川堀雪かわほりゆき
んふふ、牡丹。びっくりした?
牡丹
牡丹
…えぇ、勿論です
2人で笑い合いながらも雪と顔を見合わせました。花火の光に照らされて彼女の顔が光ります。その様子を見て密かに嬉しくなりました。……楽しい、久しぶりにそう思うことができました

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